化学辞典 第2版 「燃焼速度」の解説
燃焼速度
ネンショウソクド
burning rate, burning velocity
火炎の伝搬に当たり,未燃ガスが火炎面に直角に入る速度は燃焼速度といわれ,火炎中の化学反応の速さを示す重要な燃焼特性の一つである.火炎が層流炎であるか,乱流炎であるかによって層流燃焼速度と乱流燃焼速度とに分かれるが,前者の値は1 atm,常温の普通の炭化水素-空気混合気では,ほぼ40~50 cm s-1 程度の値をとる.一方,後者の値はこれより大きく,乱れが強くなるほど増加する.燃焼速度を求めるには,定常火炎(バーナー火炎)が燃焼速度と混合気の流速の釣り合いのうえに形成されていることを用い,火炎の半項角や火炎面積の測定をもとに計算することが多い.なお,固定した座標系からながめたときの火炎の移動速度は,火炎速度(flame speed)とよび,燃焼速度と区別するが,このような2種類の速度が存在する理由は,火炎前方の未燃ガスが静止していない点にある.燃焼速度という用語は,液体や固体の燃焼を含めてかなり便宜的に使われているが,厳密には上記の定義に合うもののみが正しく,ほかは別の名称でよばれるべきものである.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報