精選版 日本国語大辞典 「燻革」の意味・読み・例文・類語
ふすべ‐がわ‥がは【燻革】
くすべ‐がわ‥がは【燻革】
- 〘 名詞 〙 松葉の煙で地を黒くいぶし、模様を白く残した革。ふすべがわ。くすべ。
- [初出の実例]「くすべかはのたびはき」(出典:虎明本狂言・打たる舞(室町末‐近世初))
…律令制のもとでは,〈かわおし・おしかわ〉に堪能な熟練工が官衙(かんが)や寺院に付属する工房で革工として作業に従事し,靴履・鞍(くら)・吹革(ふきがわ)(鍛冶に用いるふいご)なども製造していたが,その多くは朝鮮からの渡来人,ならびにそれの系譜に立つ人々であったと推察され,身分制度上は良民(一般民)より下位,賤民(せんみん)より上位に置かれて品部(しなべ)に編入されていた。生産した皮革は,馬皮・牛皮・鹿皮・熊皮などで,皮革の表面に模様の型をあておいて松葉(またはわら)の煙でいぶし,型の部分を生地色のままに残した燻革(ふすべがわ)や,紫革・緋革・纈革(しぼりがわ)・画革・白革などの染革(そめがわ)も作られた。 荘園制のもとでは,従来の官営工房から流出した技術者たちがその技能をもって荘園領主に抱えられたり,技能を受けついだ河原者たちが斃牛馬(たおれぎゆうば)の解体処理を生業の一環としたりして,皮革生産が行われ,高まる需要に応じていた。…
※「燻革」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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