州浜(読み)スハマ

デジタル大辞泉 「州浜」の意味・読み・例文・類語

す‐はま【州浜/×洲浜】

曲線を描いて州が出入りしている浜。
州浜形」の略。
州浜台」の略。
紋所の名。州浜形のもので、種々ある。
棹物さおもの菓子の一。きな粉白砂糖水飴などを練って棒状にしたもので、切り口が州浜形になることからいう。豆飴まめあめ。また、素甘すあまのこと。→素甘
[類語]海岸海辺うみべ海辺かいへん沿海沿岸海沿い浜辺海浜砂浜臨海湾岸波打ち際海水浴場リアス式海岸シーサイドビーチ磯辺荒磯

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精選版 日本国語大辞典 「州浜」の意味・読み・例文・類語

す‐はま【州浜・洲浜】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「すわま」とも )
  2. 浜辺の入りこんだところ。水の湾入したなぎさ。州が出入りしている海岸。
    1. [初出の実例]「東の対の南のはしには、広き池流れ入りたり。〈略〉その水様すはまのやうにて、御前の南には中島あり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上上)
  3. の形状にならった島台(しまだい)の作りもの。蓬莱山や木石、花鳥など、その時々の景物を設けたもの。饗宴などの飾り物とする。州浜台。
    1. 州浜<b>②</b>
      州浜
    2. [初出の実例]「おなじ御時せられける菊合に、すはまをつくりて菊の花うへたりけるにくはへたりける歌」(出典:古今和歌集(905‐914)秋下・二七二・詞書)
  4. すはまがた(州浜形)」の略。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  5. すはまおにがわら(州浜鬼瓦)」の略。
  6. 紋所の名。を上から見おろした形に種々のものをあしらい図案化したものの総称。州浜、五つ持合せ州浜、州浜桐、州浜木瓜など。〔文明本節用集(室町中)〕
    1. 五つ持合せ州浜@州浜
      五つ持合せ州浜@州浜
  7. 馬の鞍(くら)の部分の名。前輪と後輪(しずわ)の下のへこんだ所。わにぐち。みいれ。州浜形。
  8. 棹物菓子。水飴、きな粉、白砂糖などで製し、竹の皮に包んだもの。弘安年間(一二七八‐八八)、京都の松寿軒創案のもの。横断面が、州浜形であるところからいう。州浜飴。豆飴。
    1. [初出の実例]「かたに、かづきたまふは、日ごろ、このませ給ふなる、すはま、とぢまめ、さたうまめ、たうふなんどや、入給ふ」(出典:御伽草子・隠れ里(室町時代物語集所収)(江戸初))

州浜の補助注記

日葡辞書には別見出しに「Suama(スアマ)」もある。→すあま(州浜)


す‐あま【州浜・洲浜】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「すはま」の変化した語 )
  2. すはま(州浜)〔天正本節用集(1590)〕
    1. [初出の実例]「南面の縁側、西の(スアマ)」(出典:浮世草子・懐硯(1687)四)
  3. すはまがた(州浜形)壒嚢鈔(1445‐46)〕

す‐わま‥はま【州浜・洲浜】

  1. 〘 名詞 〙すはま(州浜)

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改訂新版 世界大百科事典 「州浜」の意味・わかりやすい解説

州浜 (すはま)

祝儀飾物,および和菓子の名。飾物の州浜は州浜台の略で,島台とも呼ぶ。出入りのある浜辺をかたどった台で,これに松竹梅鶴亀,尉(じよう)と姥(うば)などの作り物を配して,婚礼,正月その他祝儀の席に飾った。進献する品物を載せることもあった。その形はつとに図案化されて紋所になり,また衣服や調度の文様としても用いられた。

 菓子の州浜はこの形に作られたための名である。きな粉を水あめで練って固めたもので,豆あめともいい,室町後期から文献に名が見える。現在ではこの生地で作った菓子を形状のいかんにかかわらず州浜というが,本来は棒状に長くのばしたものを2,3本の竹で押さえて凹凸をつけ,その断面を州浜形にしたものであった。《和漢三才図会》(1712)には,州浜形にしたもののほかに,縄状にねじったものの図が描かれ,それは豆あめとされている。なお,関東には糝粉(しんこ)と砂糖を合わせて蒸してついた寿甘(素甘)(すあま)という菓子がある。これはすだれで巻くなどして凹凸をつけるもので,はじめはやはり州浜形に作って州浜と呼んでいたが,それが〈すわま〉〈すあま〉と転じて素甘の字を当てるようになったものと思われる。
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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「州浜」の解説

すはま【州浜】

和菓子の一種。大豆をいって粉にひき、砂糖・水あめなどを加えて練り、割り竹を用いて「州浜(台)」をかたどった棹物の菓子。1657(明暦3)年の創業以来の製法を伝える京都・丸太町通の和菓子店「植村義次」のものが知られる。また、こんにちではこの形のもののほか、そら豆の形のもの、わらびの形のもの、赤・黄・緑のだんごを串に刺したものが京都などで作られる。◇鎌倉時代の弘安年間(1278~1288)に京都にあった菓子店「松寿軒」が考案したものとされる。「州浜」は浜辺の入り組んだところをいい、これを意匠化した文様、家紋、またこの形を模し、婚礼や饗宴の飾り物として松竹梅や鶴亀、蓬莱山の情景などを飾るのに用いた島台も「州浜」という。

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百科事典マイペディア 「州浜」の意味・わかりやすい解説

州浜【すはま】

祝儀の飾物の一種。州(しま)の海辺のさまを表していて州浜台,島台(しまだい)とも。島をかたどった台の上に松竹梅,鶴亀,尉(じょう)と姥(うば)などを配し,おのころ島や蓬莱(ほうらい)山に見立てたもの。中国で立春に用いる春盤を模したものといわれ,古くは肴(さかな)などを盛って正月の祝儀にも用いたが,現在はもっぱら結婚式に使われる。 この形を模した和菓子も州浜といい,きな粉を水あめで練って固めてつくる。また関東では【しん】粉(しんこ)に砂糖を加えて蒸してついた素甘(すあま)という菓子があり,これもはじめは州浜形に作られた。

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