祝儀の飾物,および和菓子の名。飾物の州浜は州浜台の略で,島台とも呼ぶ。出入りのある浜辺をかたどった台で,これに松竹梅,鶴亀,尉(じよう)と姥(うば)などの作り物を配して,婚礼,正月その他祝儀の席に飾った。進献する品物を載せることもあった。その形はつとに図案化されて紋所になり,また衣服や調度の文様としても用いられた。
菓子の州浜はこの形に作られたための名である。きな粉を水あめで練って固めたもので,豆あめともいい,室町後期から文献に名が見える。現在ではこの生地で作った菓子を形状のいかんにかかわらず州浜というが,本来は棒状に長くのばしたものを2,3本の竹で押さえて凹凸をつけ,その断面を州浜形にしたものであった。《和漢三才図会》(1712)には,州浜形にしたもののほかに,縄状にねじったものの図が描かれ,それは豆あめとされている。なお,関東には糝粉(しんこ)と砂糖を合わせて蒸してついた寿甘(素甘)(すあま)という菓子がある。これはすだれで巻くなどして凹凸をつけるもので,はじめはやはり州浜形に作って州浜と呼んでいたが,それが〈すわま〉〈すあま〉と転じて素甘の字を当てるようになったものと思われる。
執筆者:鈴木 晋一
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