片去る（読み）カタサル

デジタル大辞泉

かた‐さ・る【片去る】

［動ラ四］
１ 片側に寄る。
「ぬばたまの夜床よとこ―・り」〈万・四一〇一〉
２ 遠慮する。
「いづかたにも皆こなたの御けはひには、―・り憚はばかるさまにて」〈源・若菜上〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

かた‐さ・る【片去】

1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙
   1. ① 片方へ離す。片方に寄せる。片方へ避ける。
      1. [初出の実例]「ぬばたまの 夜床加多左里(カタサリ) 朝寝髪 かきもけづらず」(出典：万葉集（８Ｃ後）一八・四一〇一)
   2. ② 一目おく。一歩譲る。遠慮する。
      1. [初出の実例]「物奉る人をかたさりて奉れ」(出典：宇津保物語（970‐999頃）菊の宴)
      2. 「はじめより参り給へるを、いとをしとてかたさりきこえ給ふさまにもてなしきこえ給ふを」(出典：有明の別（１２Ｃ後）一)
2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
   1. ① 退く。退去する。
      1. [初出の実例]「山王にかたさり御してもなどか御裁許無くとぞ人傾き、申しける」(出典：延慶本平家（1309‐10）一本)
   2. ② 気力がなくなる。
      1. [初出の実例]「曲の声に涙落ちて、かたさりぬとて漕ぎ去りぬ」(出典：十訓抄（1252）一〇)

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