片岸(読み)カタギシ

デジタル大辞泉 「片岸」の意味・読み・例文・類語

かた‐ぎし【片岸】

《古くは「かたきし」とも》
片方の岸。
一方が険しいがけになっている所。
「山の奥の谷の―に、高き木のあるに」〈宇治拾遺・六〉
かたわらにある場所。ほとり。
左近馬場むまばを―にしたれば、いと遥かなり」〈かげろふ・上〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「片岸」の意味・読み・例文・類語

かた‐きし【片岸】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「かたぎし」とも )
  2. 片方の岸。川などの、一方の岸。
    1. [初出の実例]「行く水のかげやは見ゆるかたきしのまつはくるしきものにざりける」(出典:古今和歌六帖(976‐987頃)五)
  3. ( 「きし」は、断崖の意 ) 片方が高く切り立って、崖(がけ)になった所。
    1. [初出の実例]「勾欄におしかかりて、とばかりまもりゐたれば、かたきしに、草のなかに、そよそよしらしたるもの、あやしきこゑするを」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
  4. かたわらにある場所。隣り合わせの所。すぐ、はずれの所。ほとり。
    1. [初出の実例]「たまさかに京なるほども、四五条のほどなりければ、われは左近の馬場をかたきしにしたれば、いと遙かなり」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android