(読み)もう

精選版 日本国語大辞典 「牟」の意味・読み・例文・類語

もう【牟】

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙 牛の鳴き声を表わす語。
    1. [初出の実例]「いらゑてくれひ。よこ座よ。〈もふとうしがいふ〉」(出典:虎明本狂言・横座(室町末‐近世初))
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 転じて、牛のことをいう、幼児語

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「牟」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 6画

[字音] ボウ・ム

[説文解字]

[字形] 象形
牛に鼻箝(びかん)を加えている形。〔説文〕二上に「牛鳴くなり」とし、「其の聲氣の口より出づるに象る」と、厶(し)を声気の象とするが、牛の鼻に梏(こく)をつけて牽(ひ)くことをいう。厶は牽の字に含まれている玄(鼻綱)の半形である。その牽かれて鳴く声を牟という。擬声的な語である。

[訓義]
1. 牛のなくこえ。
2. 冒と通じ、むさぼる、おかす、おおう。
3. (ぼう)と通じ、ひとしい。
4. 袤(ぼう)・茂・懋(ぼう)と通じ、大きい、多い、ふえる。
5. (ぼう)、大麦。

[古辞書の訓]
〔字鏡集〕牟 マサル・ハジメ・トル・ホユ・ススム・ウツクシブ・スギタリ・ウシノナク・ヲホナリ・ウバウ・アイス・オモフ

[声系]
〔説文〕に牟声としてを収める。眸は〔新附〕の字。牟はときに(冒)・(茂)などの声と通じて用いることがある。

[語系]
牟miuは・懋・袤mu、尨meongと声近く、ときに通用する。牟の字義は牛の鳴き声を模したものにすぎない。

[熟語]
牟甲・牟牟子牟取牟寿牟食牟盛・牟然牟賊牟知牟麦牟利牟尼
[下接語]
侵牟・鉄牟・兜牟・来牟

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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