…利根川下流域では十九夜講やユサン講などの講員である若い嫁が,毎年2月から4月ころにかけて定期的に行うが,雌犬が死んだ際に臨時に行うこともある。犬卒塔婆とよぶY字形の塔婆に握飯を入れた藁苞(わらづと)をつけて,村はずれの川や三差路まで鉦(かね)・太鼓で送っていき,そこに立ててくる。これは無事に子どもが生まれてくることを願う安産祈願の行事である。…
…墓標塔婆は天台宗,真言宗では上から下へ空,風,火,水,地の5字,ないしそれにあたる梵字を記し,その下に〈為法名菩提也〉と記し,浄土諸宗は名号,日蓮宗は題目の下に法名を記す。民間の最終年忌の際の枝つき塔婆,関東・東北にみられる安産祈願のためのY字形の犬卒塔婆(犬供養)は,仏教以前の習俗を伝えるものと思われる。【赤田 光男】。…
…西日本では1000頭の猪鹿を捕らえた者は人1人を殺したことに当たるとして千匹塚を建てて供養を営む慣習があり,ことに熊をとった場合は1頭ごとに墓を設けて,子孫7代までの祟りをさけるなどの習慣もあった。関東では,安産を祈って女人講が死んだ犬のため二股の犬卒塔婆を立てて犬供養を行い,また農作物の害虫などを大量に駆除した際には,虫の霊を供養するためやはり碑を立てて記念とすることもあった(虫供養)。使用していた馬や牛が斃(たお)れたとき,その場に馬頭観音像を建立したりするのも,その霊を供養することで慰霊の心を示し,その恨みによって同じ災いが再発することを防ごうとする気持ちを示したもので,宗教者の関与もあるが,基底には,動物にも霊魂があって人と同じく怒り恨む場合があり,供養によって慰められ和らぐという信仰が働いていると認めるべきである。…
※「犬卒都婆」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
梅雨の季節に入ること。つゆ入り。毎年6月中旬~7月中旬の約1ヵ月間,九州から東北地方は梅雨の季節に入る。これは,北方のオホーツク海高気圧と南方の小笠原高気圧とに挟まれて,揚子江流域から九州,四国,本州...