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馬頭観音 ばとうかんのんHayagrīva

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

馬頭観音
ばとうかんのん
Hayagrīva

観世音菩薩の化身で,六観音の一つ。忿怒相をもち,人身で,頭が馬のものと,馬の頭飾りを戴くものとがあり,馬頭は諸悪魔を下す力を象徴し,煩悩を断つ功徳があるとされる。しかし一般には馬の無病息災の守り神として信仰され,3面8臂,4面8臂などのものもある。また八大明王の一つとして馬頭明王,あるいは馬頭大士の形でも信仰されている。日本最古の明確な造像例は石川豊財院の木像で,11世紀の作と推定される。次いで 12世紀のものでは島根金剛寺,福岡観世音寺の諸像,鎌倉時代以後は作例も多く,京都浄瑠璃寺のものはよく知られている。

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デジタル大辞泉の解説

ばとう‐かんのん〔‐クワンオン〕【馬頭観音】

《〈梵〉Hayagrīva六観音七観音の一。宝冠に馬頭をいただき、忿怒(ふんぬ)の相をした観音菩薩(ぼさつ)。魔を馬のような勢いで打ち伏せ、慈悲の最も強いことを表すという。江戸時代には馬の供養と結び付いて信仰されるようになった。馬頭明王。

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百科事典マイペディアの解説

馬頭観音【ばとうかんのん】

六観音の一つ。馬頭大士とも。観音の怒りを表し,馬頭人身,あるいは人面馬冠の姿をとる。馬は魔をくだす力を表す。六道中畜生道に配され,そこの住類を救うとされ,一般には馬の除疫の守護本尊とされ,また怨敵降伏の本尊とされる。

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世界大百科事典 第2版の解説

ばとうかんのん【馬頭観音】

サンスクリット名ハヤグリーバhayagrivaの訳。馬頭明王ともいう。六観音(聖,十一面,千手,如意輪,不空羂索または准胝,馬頭),八大明王(降三世,大笑,不動,大威徳,大輪,無能勝,歩擲(ぶちやく),馬頭)の一つ。馬が濁水を飲み尽くし,雑草を食い尽くすように,衆生の煩悩を断尽する尊とされる。頭上に馬頭を載せるのを特徴とし,図像には異形の種類が多く,儀軌にも異説が多い。一面二臂像,一面四臂像,三面二臂像,三面四臂像,三面八臂像があり,さらに持物,形姿にも相違が著しい。

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大辞林 第三版の解説

ばとうかんのん【馬頭観音】

六観音・八大明王の一。人身馬頭、または宝冠に馬頭をいただき、憤怒の相をした観世音菩薩。江戸時代、馬の守護神として民間に広く信仰された。馬頭大士。馬頭明王。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

馬頭観音
ばとうかんのん

六観音の一つ。サンスクリット名はハヤグリバHayagriva。観世音菩薩(ぼさつ)の化身で、頭上に馬頭をいただき、さながら転輪聖王(てんりんじょうおう)の宝馬が駆け巡って四囲を威圧するような姿をその特徴とし、その形相から馬頭観音の名称がある。この観音は、生死の大海に四魔を降伏(ごうぶく)する勢いを馬で表したものという。ヒンドゥー教における突迦(とか)女神のアスラ退治神話を素材にしたといわれる。この菩薩には一面二臂(ひ)、三面四臂あるいは四面八臂の像があり、その形相はかならずしも一定していない。後世、俗に馬の病気と安全を祈願し、路傍に馬頭大士などと石に刻んで信仰される。[壬生台舜]

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世界大百科事典内の馬頭観音の言及

【ウマ(馬)】より

…すなわち馬は神々の乗物という素朴な信仰の表現である。飼馬が倒れると馬頭観音,あるいは蒼前(そうぜん)様(東北地方の馬の守護神)として祭り,またその安全を駒形神社などに祈願する信仰も,古来,馬の飼養が普及していた東日本に顕著な現象であった。したがって,その肉を食べることも古くは忌避されており,明治以後に廃馬を処理する方法の一端として始まって食習となったといえる。…

【厩神】より

…厩にまつられる神で馬の守護神の総称。馬頭観音を馬の守護神としてまつることは広く見られ,死馬の供養のため馬頭観音の石碑を立てることも一般的である。また駒形明神も馬の守護神とされる。…

【動物供養】より

…関東では,安産を祈って女人講が死んだ犬のため二股の犬卒塔婆を立てて犬供養を行い,また農作物の害虫などを大量に駆除した際には,虫の霊を供養するためやはり碑を立てて記念とすることもあった(虫供養)。使用していた馬や牛が斃(たお)れたとき,その場に馬頭観音像を建立したりするのも,その霊を供養することで慰霊の心を示し,その恨みによって同じ災いが再発することを防ごうとする気持ちを示したもので,宗教者の関与もあるが,基底には,動物にも霊魂があって人と同じく怒り恨む場合があり,供養によって慰められ和らぐという信仰が働いていると認めるべきである。【千葉 徳爾】。…

※「馬頭観音」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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