状況倫理(読み)じょうきょうりんり(英語表記)Situationsethik

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「状況倫理」の意味・わかりやすい解説

状況倫理
じょうきょうりんり
Situationsethik

神の意志本性に基づく一般原理から個々の場合へと演繹されうるとするいわば本質論的な倫理に対して,いまここにおける具体的,実存的な状況からこそ神の意志は知られ,この人格的な神の呼びかけに成人としての責任をもって,原理や目的によるものではなく主体的にこたえて生きようとする倫理的な立場。神の受肉による世俗の積極的肯定と個人の尊重根底にあるが,現状をそのまま安易に肯定する危険がある。主としてプロテスタントの間で J.フレッチャーや P.レーマンなどによって提唱され,カトリックでは 1952年の教皇ピオ 12世の否定以来公的には禁止されているが,個人としてこれに近い立場をとる神学者はいる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android