受肉(読み)ジュニク(英語表記)Incarnation

デジタル大辞泉 「受肉」の意味・読み・例文・類語

じゅ‐にく【受肉】

神が人の形をとって現れること。キリスト教では、神の子キリストがイエスという人間性をとって、この地上に生まれたこと。

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精選版 日本国語大辞典 「受肉」の意味・読み・例文・類語

じゅ‐にく【受肉】

  1. 〘 名詞 〙 キリスト教で、神は、父・子・聖霊という三つ位格と、ひとつ実体において存在するというのが三位一体であるが、その第二位格の子が、ナザレのイエスという歴史的人間性をとったという教理をいう。託身インカーネーション

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改訂新版 世界大百科事典 「受肉」の意味・わかりやすい解説

受肉 (じゅにく)
Incarnation

〈託身〉ともいう。《ヨハネによる福音書》1章14節の〈言(ことば)(ロゴス)は肉となってわれらの内にやどった〉の句に由来し,神が人間となって救いをなしとげたとするキリスト教の根本教義。しかしこれはまったくの逆説であるため,その理解をめぐって多くの論争がなされた。グノーシス派によれば,これは人間が肉の中に隠れた神性を発見することにほかならず,それゆえ肉体霊魂の仮の宿にすぎないとされる。これを〈仮現説docetism〉という。ヨハネはこれに対し,受肉を十字架と復活の前提としただけでなく,ロゴスのできごととして意味づけ象徴化したのだといえる。のちにアタナシオスは受肉による肉体の浄化を説き,アンセルムスは受肉なしには人類は滅びをまぬかれなかったとしてその必然性を論じ,フォーサイスは受肉を終末論的な救済に結びつけて理解したが,これらはいずれもロゴスの中に創造と救済の統一をおいて,その神学的意味を明らかにしたものである。
キリスト論
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百科事典マイペディア 「受肉」の意味・わかりやすい解説

受肉【じゅにく】

英語インカネーションincarnation(ラテン語incarnareに由来)などの訳で,〈化肉〉〈托身〉とも。神の子たるキリストが人類の救済のためにイエスという人の肉体をまとって出現したことをいうキリスト教の根本教義。その一回性と逆説がかえって真理たるゆえんだとされる(〈非合理なるがゆえにわれ信ず〉テルトゥリアヌス)。なお,reincarnationとは〈転生〉(輪廻),〈甦り〉のこと。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「受肉」の意味・わかりやすい解説

受肉
じゅにく

インカーネーション

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「受肉」の意味・わかりやすい解説

受肉
じゅにく

「インカルナチオ」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の受肉の言及

【キリスト教】より

…キリスト教は〈愛の宗教〉と呼ばれ,実際に〈神は愛である〉(《ヨハネの第1の手紙》4:16)と宣言するが,この愛の原型は十字架につけられたキリストである。さらに十字架は,受肉(托身),三位一体など,キリスト教の中心的な神秘を予想し,復活の信仰と結びつく。キリスト信者とは自分の十字架を担ってキリストに従う者にほかならない。…

【肉】より

… 肉と霊,肉体と精神の二元論は宗教が成立する基盤である。イエスの生誕を〈受肉〉と言うキリスト教のカトリックの教義には七つの秘跡(サクラメント)があり,その一つが聖体または聖餐の秘跡である。別名〈肉と血の秘跡〉で,信者がキリストの肉と血を象徴するパンとブドウ酒を受けることをいい,新約聖書にあるように,キリストが〈最後の晩餐〉のときにこれを定めたとされる。…

※「受肉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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