朝日日本歴史人物事典 「献笑閣主人」の解説
献笑閣主人
江戸時代の洒落本作者。主に宝暦期(1751~64)に活動した,初期の大坂洒落本界の第一人者とされる。延享4(1747)年刊の洒落本『瓢金窟』に蔵板者としてその名がみえるのを初めとして,『月花余情』『陽台遺編』に序文を著し,その作者かと思われる。他にも『猪の文章』には,作者の序文とは別の序文を著し,『旧変段』には蔵板者として名を出している。また,そこに同じく蔵板者として名を出す「忘草野姥」は,献笑閣主人と同一人物と思われ,「忘草野姥」の述言を持つ『列仙伝』にも関係していると考えられる。その素性については,『瓢金窟』の板元和泉屋卯兵衛であるという説,作者とされる近江屋源左衛門という説,『月花余情』の開板人伊予屋庄兵衛であるという説などがある。
(樫澤葉子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報