改訂新版 世界大百科事典 「猿屋町会所」の意味・わかりやすい解説
猿屋町会所 (さるやちょうかいしょ)
江戸幕府が設けた札差への資金貸付役所。江戸浅草猿屋町(現,台東区蔵前)に置かれ,札差改正役所ともいう。1789年(寛政1)旗本御家人への金融業者札差に棄捐令(きえんれい)が発布されたが,札差の損害を慰撫し金融を途絶させないために,幕府は2万両の御下げ金を出資した。うち1万両は札差に直接,無利子20年賦で貸し下げ,残り1万両は新規登用した勘定所御用達に預けて,彼らの出資金を加えて札差に貸し出した。後者は同年冬より年6~9%,20年賦で貸し付けられ,その利子は会所入費とされたほか,さきの1万両の返済金と合わせて次の札差貸付金の元本とされた。会所は町年寄樽屋与左衛門が管轄し,勘定所御用達が融資の実務に当たった。金融を通じての札差業の管理事務所といった性格が強かった。明治維新で廃止。
執筆者:北原 進
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