玉藻刈(読み)たまもかる

精選版 日本国語大辞典 「玉藻刈」の意味・読み・例文・類語

たまも‐かる【玉藻刈】

  1. 美しい藻を刈っているの意で、実際の景色を描写しながら、海辺地名、「みぬめ」「からに」「をとめ」「おほく」「いらご」「あさか」などにかかる。
    1. [初出の実例]「珠藻苅(たまもかる)敏馬(みぬめ)を過ぎて夏草の野島の崎に舟近付きぬ」(出典万葉集(8C後)三・二五〇)
    2. 「玉もかるおほくの浦の浦風につつじの花は散りぬらんかも」(出典:古今和歌六帖(976‐987頃)六)
  2. 転じて、海や水に関係深い「沖」「井堤(ゐで)」「舟」「池」などにかかる。中には、実景の描写をかねたつもりのものもある。
    1. [初出の実例]「玉藻苅(たまもかる)沖辺は漕がじしきたへの枕のあたり忘れかねつも」(出典:万葉集(8C後)一・七二)
    2. 「玉もかるふなてはしばし心せよ池の紅葉は錦織るめり」(出典:経信集(1097頃))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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