改訂新版 世界大百科事典 「玉露叢」の意味・わかりやすい解説
玉露叢 (ぎょくろそう)
雑史。著者不詳。林羅山あるいは林鵞峰著とする説があるが,確かではない。1674年(延宝2)の自序によれば,著者若年よりの見聞を得るにしたがって,日次記(ひなみき)のように書きつけたという。1598年(慶長3)豊臣秀吉病気のことより始まり,1681年2月までの幕府の事歴,市井の風聞,京都公家・寺社,軍役,参勤などに及び一種の編年史である。中でも,大坂夏の陣,1626年(寛永3),34年の家光上洛,1630年明正天皇即位,36年朝鮮人来朝,37年島原一揆の記事などは詳しい。《甘露叢》《文露叢》と並んで三露叢といわれる。写本は比較的多いが,巻数冊数に異同があり,刊本は《国史叢書》《江戸史料叢書》に所収。
執筆者:山本 武夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報