現状維持政策(読み)げんじょういじせいさく(その他表記)policy of status quo

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「現状維持政策」の意味・わかりやすい解説

現状維持政策
げんじょういじせいさく
policy of status quo

国際政治において,ある時点で存在する国家間の力関係をそのまま維持しようとする目的でとられる政策をさす。ある時点での各国外交政策は,自国に有利な現状を維持しようとする現状維持政策と,自国に不利な現状を変更しようとする現状修正政策とに2分することができる。「持てる国」は現状維持政策をとり,「持たざる国」は現状修正政策をとるなどともいわれる。また,大規模な戦争の終了後に,国家間の勢力関係を大きく変えることなく,その分布を固定化させようと意図する政策をも現状維持政策と呼ぶ。第1次世界大戦後の国際連盟,第2次世界大戦後の国際連合にそうした政策が結実している。なお,これと類縁的な用語原状回復 status quo ante bellum政策がある。これは戦前の状態を回復させようとする政策で,戦勝国が講和条約によって戦敗国に強制する。

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世界大百科事典(旧版)内の現状維持政策の言及

【現状維持】より

…その引照基準は,講和条約で規定された戦争終了時点である。講和条約は戦争の勝敗にともなう力の配分の変動を法的に規定したものであるから,現状維持政策とは,しばしば大戦を終了させた講和条約あるいはその保障装置としての国際組織に定められた,ある地域の全体秩序や政治的諸関係の安定,維持,保障として見受けられる。事実,ナポレオン戦争の平和処理後の神聖同盟,第1次大戦後の国際連盟,第2次大戦後の国際連合はその典型例であった。…

※「現状維持政策」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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