甚兵衛渡し(読み)じんべえわたし

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「甚兵衛渡し」の意味・わかりやすい解説

甚兵衛渡し
じんべえわたし

水神渡ともいう。千葉県北部,印旛沼の北東部にあった民営渡船場。承応年間 (1652~55) 佐倉藩の過酷な年貢に苦しむ農民のため,幕府に直訴しようとした公津村 (現成田市) の名主佐倉惣五郎を,渡し守の甚兵衛が,禁を犯し深夜に船を出して藩の追っ手から逃し,みずからも自殺をとげたという歌舞伎佐倉義民伝』で知られるゆかりの地。 1967年,甚兵衛大橋の完成により渡船は廃止された。

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世界大百科事典(旧版)内の甚兵衛渡しの言及

【佐倉義民伝】より

…この《佐倉義民伝》に取材した歌舞伎脚本《東山桜荘子(ひがしやまさくらそうし)》が3世瀬川如皐(じよこう)によって書かれ,1851年(嘉永4)8月江戸の中村座で初演されたことで,佐倉宗吾伝説は定着した。《佐倉義民伝》は,第2次世界大戦後の農民運動でももてはやされ,印旛沼の渡し守甚兵衛が鎖を切って宗吾を渡す《甚兵衛渡し》のくだりは多くの浪曲家によって手がけられている。義民物【矢野 誠一】。…

※「甚兵衛渡し」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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