生体制御(読み)せいたいせいぎょ(その他表記)biological control

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生体制御」の意味・わかりやすい解説

生体制御
せいたいせいぎょ
biological control

生体の内部に自然にそなわっている働き (生体の調節) をさすときと,人為的に外部から生体にある作用を与えて制御することをさすときとがある。生体の調節は神経系や内分泌系,さらには各器官や組織に内在する自律性などによって,生体がさまざまに変化する外界環境に巧みに適応して,全体として統一ある体内内部環境のホメオスタシスを保っている仕組みをさすもので,生理学や工学的制御論研究者の興味の的になっており,その成果は医学や工学に広く利用される。生体の正常な調節作用,すなわち,内在的な生体制御が円滑に行われている状態が健康であるとすれば,その乱れは病気であるから,病的な生体に外界から制御作用を加えて治療を試みることが最近盛んである。その例として,ペースメーカーによる心拍数の制御,膀胱電気刺激による排尿の制御,麻痺した下肢の電気刺激による歩行の制御,人工膵臓による血糖の正常化,人工腎臓による体液成分の制御などがある。

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