排尿(読み)ハイニョウ

精選版 日本国語大辞典 「排尿」の意味・読み・例文・類語

はい‐にょう‥ネウ【排尿】

  1. 〘 名詞 〙 尿を体の外に出すこと。小便をすること。
    1. [初出の実例]「一人の少年が立ちあがり羽目板の隅で排尿したが」(出典:芽むしり仔撃ち(1958)〈大江健三郎〉九)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「排尿」の意味・わかりやすい解説

排尿
はいにょう

腎臓(じんぞう)において血液から老廃物や有害な代謝産物を濾過(ろか)してつくられた尿は、腎盂(じんう)(腎盤)から尿管の蠕動(ぜんどう)によって膀胱(ぼうこう)へ送られる。膀胱内に尿が充満すると尿意を生じ、尿は尿道を経て体外に排出される。これを排尿という。ヒトの場合、尿意を感ずる膀胱内の尿量は個人差が大きいが、普通は150~300ミリリットル程度であり、容量が600~800ミリリットルになると膀胱壁の伸展が過度となって痛みを感ずるようになる。排尿は、一連の反射によって膀胱壁の筋(壁筋)が収縮すると同時に、膀胱と尿道との境界部にある括約(かつやく)筋(内膀胱括約筋および外膀胱括約筋)が弛緩(しかん)することによって行われる。排尿圧は約70~100センチメートル水柱である。括約筋のうち内膀胱括約筋は不随意筋であり、その主機能は射精時に精液が膀胱内に逆流するのを防ぐことにあるため、排尿にはあまり関与していない。一方、外膀胱括約筋は、壁筋と独立して随意的に動かすことはできないが、壁筋が収縮しているときには随意的に収縮させることはできる。尿意をがまんし、排尿の時と場所を選べるのは、この外膀胱括約筋のおかげである。排尿反射中枢脊髄(せきずい)下部仙髄)にあるが、大脳皮質や中脳など上位中枢によって常時抑制されている。小児では、とくに夜間時にこの上位中枢からの抑制が十分でないため、夜尿をおこしやすい。また、脊髄疾患や極度の精神的緊張によって上位中枢からの抑制が及ばなくなると、意志と無関係に排尿反射がおこる。これが尿失禁である。

[真島英信]

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世界大百科事典(旧版)内の排尿の言及

【尿】より

…多量の植物食を摂取したときなどには,リン酸塩の結晶沈殿による混濁が見られることがあるが,この沈殿は酢酸の添加により消失する。排尿直後から混濁しているのは病的なことが多く,白血球増多(膿尿),細菌などの混入による。 尿のpHは5~8の変動幅を示すが,ふつうは弱酸性(pH6)である。…

【膀胱】より

…内尿道口の周囲では,これを取りかこむ筋層がとくに発達し,膀胱括約筋と呼ばれる。排尿は,副交感神経の刺激で膀胱壁の筋層が収縮し,膀胱括約筋がゆるむことによって起こる。逆に,交感神経が緊張すると,膀胱壁の平滑筋がゆるみ,膀胱括約筋が収縮して尿が蓄えられる。…

※「排尿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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