日本大百科全書(ニッポニカ) 「生子壁」の意味・わかりやすい解説
生子壁
なまこかべ
「海鼠(なまこ)」の字をあてることもある。厚さ2センチメートル、一辺30センチメートル内外の方形平瓦(かわら)(タイル)を壁面に張り、タイルの目地(めじ)通りに漆食(しっくい)をかまぼこ形に盛り上げた壁をいう。目地は碁盤状の場合と、四半(菱(ひし)状。地盤に対し45度方向に通す)の場合とがある。タイルの止め方は、荒壁面に目地通りに組んだ格子を埋め込み、それへ釘(くぎ)打ちするが、簡単なものでは荒壁面へ直接接着することもある。使用材料からも防火上有効で、江戸中期以降、城郭、武家邸、土蔵、商家などの腰壁に塗屋造、土蔵造と併用された。現在でも倉敷など古い町並を残している所では生子壁が都市景観に欠かせぬ要素となっている。
[山田幸一]