生活水準論争(読み)せいかつすいじゅんろんそう(その他表記)standard of living debate

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生活水準論争」の意味・わかりやすい解説

生活水準論争
せいかつすいじゅんろんそう
standard of living debate

イギリス産業革命期において,労働者階級生活水準が上昇したか下落したかをめぐる論争。産業革命あるいは工業化が生活水準に及ぼした社会的影響をどう評価するか,という楽観論 (連続説) と,生活水準は停滞ないし下落したという悲観論 (断絶説もしくは非連続説) に分れる。この論争の起源は 1830年代から 40年代にかけて議論された G.R.ポーターの楽観論対エンゲルスの悲観論にあるが,以来今日にいたるまで,その実証をめぐって指標の選択と計量分析の方法,あるいは全国的レベルと地方史レベルの検証のいずれが有効かなどについて,盛んな議論が継続されている。

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世界大百科事典(旧版)内の生活水準論争の言及

【産業革命】より

… とすれば,近代的な二つの階級の成立と都市化という現象が,庶民生活をどのように変えたといえるか。悲観説・楽観説両派による〈生活水準論争〉は泥沼化して決着がつかないが,論争の過程で,たとえば次のような変化の実態はしだいに明らかになってきている。工場労働における低賃金と労働時間の長さが同時代にもしきりに問題にされたことは,12時間労働を規定した1833年の工場法などをみれば明らかである。…

※「生活水準論争」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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