検証(読み)けんしょう(英語表記)Augenscheinbeweis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

検証
けんしょう
Augenscheinbeweis

裁判官が直接その感覚作用によって,物体の性状,事物の現象を検閲して証拠資料を得る証拠調べ。文書でもその記載内容を証拠とするのではなく,紙質,筆跡,印影を検閲する場合や,人の容姿や音声を検閲する場合は,書証証人尋問ではなく,検証である。 (1) 民事訴訟法上の検証の手続はだいたい書証に準じる。検証の申し出には検証物を表示することを要し,当事者および第三者はその所持もしくは占有する物件を提示し検証を受忍する義務を負う。ただし正当な事由がある場合には拒絶することができる。当事者が正当な事由なくして検証を拒み,または相手方の使用を妨げる目的で検証物を破棄,隠匿した場合には,裁判所は相手方の主張を正当と認めることができる。第三者が提示の命令に従わない場合には過料の制裁を受ける。

(2) 物的証拠の取り調べのうち,五感の作用により裁判の基礎となる証拠物の存在または状態を実験,認識する証拠調べをいう。検証は,裁判所,受命,受託裁判官,または証拠保全裁判官によって行なわれる (刑事訴訟法) 。このほか,捜査機関により捜査活動の一環として行なわれる場合がある。犯罪の現場でなす検証を現場検証 (実地検証) といい,人の身体に対する検証については,特に身体検査令状を必要とする。公判廷外の検証については,調書が作成され,証拠として公判に顕出される。

検証
けんしょう
verification

一定の理論によって立てられた仮説が具体的に現実に適合するか否かをテストすること。この場合,仮説の限定と観察の客観性が重要である。

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知恵蔵の解説

検証

検証とは軍縮・軍備管理条約の規定を締結国が順守していることの確認作業。検証方法は条約ごとに異なる。その信頼性、軍事機密などとの抵触などが争点化、条約交渉を難航させることも多い。実施主体から、(1)締結国の協力、(2)国際機関、(3)偵察衛星、地震観測、レーダーなどの自国の検証技術手段、に区分。冷戦期は、基地への立ち入りが許容されないことが多く、(3)が主だった。冷戦後、当事国以外が現地に立ち入る査察の比重が増大。国際原子力機関(IAEA)は、非核国の民生用核物質に対し核査察を行うが、それは(1)核関連施設に監視装置を設置し、試料を採取する定期的な通常査察のほか、(2)新たに協定を結んだ場合や核物質の国際輸送の場合の特定査察、(3)核物質損失が報告された場合や独自判断で実施する特別査察も可能。1993年2月、IAEAは初めての特別査察の実施を、北朝鮮の核関連施設に対し要求、政治争点となった。保障措置は民生用核物質が核兵器製造に転用されていないことを検証すること。核不拡散条約及び非核地帯条約を締結した非核兵器国はIAEAと保障措置協定を結ぶことを義務付けられる。締結国がIAEAに民生用核関連施設の設計情報・核物質の貯蔵場所・量を報告、IAEAが査察を行い核物質の出入りを調べ、行方不明がないか点検する。

(坂本義和 東京大学名誉教授 / 中村研一 北海道大学教授 / 2007年)

検証

任意の事項(アイテム:item)が、不確かさを考慮に入れて、規定された要求事項を満たしているという客観的証拠を提示すること。法定計量や適合性評価の分野では、測定システムに対する認証やマーキングの意味で使われることがある。なお、検証と校正を混同してはならない。また、どのような検証もバリデーション(妥当性確認)ではない。

(今井秀孝 独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問 / 2008年)

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デジタル大辞泉の解説

けん‐しょう【検証】

[名](スル)
実際に物事に当たって調べ、仮説などを証明すること。「理論の正しさを検証する」
裁判官捜査機関が、直接現場の状況や人・物を観察して証拠調べをすること。「現場検証」「実地検証

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百科事典マイペディアの解説

検証【けんしょう】

裁判官が直接に物や場所などの状態その他を見て,自分の感覚で証拠資料を得る証拠調べ。刑事訴訟では,検証は裁判所,裁判官,捜査機関が行うが,民事訴訟では裁判所だけが行う。前者において,検察官など捜査機関が検証を行う際には,逮捕の現場で行う場合以外は,令状が必要とされる。身体についての検証である身体検査については,人権侵害のおそれが強いので,厳重な規定がある。

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世界大百科事典 第2版の解説

けんしょう【検証】

裁判官または犯罪捜査にあたる機関が,事実を解明する目的で,物や場所のありさまをみずからの五感によって確かめる活動をいう。裁判官が行う場合には証拠調べの一種となる。同じく証拠調べの一種である証人や書証の取調べなどが,他人の言葉を通じて事実を知ろうとする方法であるのに対し,検証は,裁判官が対象物から直接に情報を感得しようとする点に特色がある。人の身体,容貌や文書の筆跡,印影なども検証の対象となる。検証には,裁判所が法廷で行う場合(例えば証拠物の取調べや印影の照合),裁判所またはこれに代わる裁判官が法廷外で行う場合(例えば騒音公害の事件で裁判所が現場に出かけて実際の音を聞くこと),および刑事事件に限って捜査機関が犯罪捜査のために行う場合(例えば犯行現場の検証)の3種がある。

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大辞林 第三版の解説

けんしょう【検証】

( 名 ) スル
真偽を確かめること。事実を確認・証明すること。 「誤りがないかどうか-する」
裁判官などが推理・推測などによらず、直接にものの形状、現場の状況などを調べて証拠資料を得ること。 「 -調書」 → 書証
〘論〙 〔verification〕 判断・命題の真偽を実地に確かめること。特に科学では、ある仮説から論理的に導出される結論を、実験や観察の結果と照合し、当の仮説の真偽を確かめること。論理実証主義においては、ある命題が観察命題の集合から論理的に演繹可能であることをいう。

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精選版 日本国語大辞典の解説

けん‐しょう【検証】

〘名〙
① 物事を調査して、事実を証明すること。
※近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉七「官医に小監察を差添へ病所を検証(ケンショウ)なすべきの条」
② 哲学で、ある文章または命題が真であるか偽であるかを、事実に照らして検査すること。験証。実証。
③ 裁判官や捜査官が、直接自分で現場の状況や物の形態、性質などを実験し、心証をとる証拠調べ。
刑事訴訟法(明治二三年)(1890)五七条「罪を検証する為め」

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世界大百科事典内の検証の言及

【シンガポール華僑殺害事件】より

…マレー半島を〈破竹の快進撃〉で南下した日本軍は,42年2月,イギリスの要塞シンガポールを占領した。その直後から,中国語で〈検証〉といわれる日本軍による華僑殺害が行われた。ここでいう〈検証〉とは,特定地域の住民を日本軍が学校などに集合させ,そこで憲兵隊による〈反日分子〉のチェックを行い,〈反日分子〉と断定された人々を山中や海岸に拉致し殺害したことをいう。…

【証拠】より

…この証拠調べの手続を書証という(219条)。裁判所が直接に事物の性状,現象を検査してその結果を証拠として用いる手続を検証といい(232条),その対象となるものを検証物という。文書と検証物とをあわせて物証と呼ぶ。…

※「検証」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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