由利氏(読み)ゆりうじ

改訂新版 世界大百科事典 「由利氏」の意味・わかりやすい解説

由利氏 (ゆりうじ)

出羽国由利郡(現,秋田県)出身の中世武家。〈由理〉とも書く。鎌倉時代,藤原泰衡郎従に由利八郎があり,鎌倉御家人に由利維平,同維久がみえるが,同族かどうかは不明。鎌倉末期,由利政春が鳥海氏に滅ぼされ,以後当郡は鳥海氏に属したという。室町時代に至り鳥海氏が滅んだのち,郡内に由利十二党(頭)といわれる武士が割拠した。仁賀(嘉)保(にかほ),矢(八)島,赤尾津,子吉(こよし),芹田(せりた),内(打)越(うてえち),石沢,岩谷(屋),潟保,鮎川下村,玉米(前)(とうまい)がそれで,玉米を除いて羽川(羽根川)(はねかわ)を加え,また芹田の代りに滝沢をいれて数えることもある。滝沢は由利維平の子孫と伝えられる。十二党の大部分は信濃小笠原氏族で,応仁(1467-69)ころ室町幕府が出羽由利郡に移したといわれている。その後,戦国・安土桃山期に互いに争うことがあって衰退し,最上義光に付されたが,江戸初期最上氏の没落とともにほとんどがつぶれ,わずかに仁賀保のみが明治まで命脈を保った。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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