甲賀三郎(推理作家)(読み)こうがさぶろう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「甲賀三郎(推理作家)」の意味・わかりやすい解説

甲賀三郎(推理作家)
こうがさぶろう
(1893―1945)

推理作家。本名春田能為(よしため)。滋賀県生まれ。東京帝国大学工学部卒業。農商務省窒素研究所に勤務するかたわら、コナン・ドイルに傾倒して1923年(大正12)から推理小説を発表。翌年、理化学トリックを使った『琥珀(こはく)のパイプ』で注目を浴び、『空屋の怪』『ニッケル文鎮』などで本格派の有力作家と目されるようになり、28年から作家生活に入る。長編には大正時代の犯罪実話に取材した『支倉(はぜくら)事件』、ルパン風のスリラー『姿なき怪盗』がある。創作推理小説の黎明(れいめい)期に江戸川乱歩とともに活躍した功労者の一人。

厚木 淳]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例