ドイル(英語表記)Doyle, John

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ドイル
Doyle, John

[生]1797. ダブリン
[没]1868.1.2. ロンドン
イギリスの挿絵画家。 1821年ロンドンに出て肖像画家として不遇の時を過す。 29年政治漫画に転じて人気を博し,W.ワーズワスらに称賛され,その全作品が K.メッテルニヒのコレクションに加えられた。

ドイル
Doyle, Sir Arthur Conan

[生]1859.5.22. エディンバラ
[没]1930.7.7. クローバラ
イギリスの推理小説作家。 1882年から 91年まで医業に従事する一方,87年「シャーロック・ホームズ」シリーズの第1作『緋色の研究』A Study in Scarletを発表,91年から『ストランド・マガジン』に多くの短編を寄稿し,それをまとめた『シャーロック・ホームズの冒険』 The Adventures of Sherlock Holmes (1891) によって大成功を収めた。以後『シャーロック・ホームズの回想』 The Memoirs of Sherlock Holmes (93) ,『シャーロック・ホームズの帰還』 The Return of Sherlock Holmes (1904) ,長編『バスカビル家の犬』 The Hound of the Baskervilles (02) などを発表した。また,南アメリカの探検物語『失われた世界』 The Lost World (12) や多くの戯曲を書き,その一つ『ウォータールー物語』 The Story of Waterloo (1900) は,H.アービングの当り狂言となった。晩年には心霊術に凝って『心霊術史』 History of Spiritualism (26) を著わした。

ドイル
Doyle, Richard

[生]1824.9.1. ロンドン
[没]1883.12.11. ロンドン
イギリスの挿絵画家。 J.ドイルの子。 1843~50年風刺雑誌『パンチ』誌の表紙デザインや政治漫画を担当,おおらかな皮肉な調子の作風で人気を得た。 W.サッカレーニューカム家の人々』 The Newcomes (1853~55) ,C.ディケンズのクリスマス用の読み物などの挿絵を制作。 16歳のときに制作したスケッチブック『ディック・ドイル日誌』 Dick Doyle's Journal (大英博物館) は彼の早熟な才能を示している。

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百科事典マイペディアの解説

ドイル

英国の作家。スコットランド生れ。開業医として働いているうち,シャーロック・ホームズものの長編《緋色の研究》(1887年)を発表,名声を博したので執筆生活に専念。ほかに歴史小説《マイカー・クラーク》(1889年),《白衣の騎士団》(1891年),《大ブール戦争》(1900年),戯曲《ウォータールー物語》(1894年)などを著し,また怪奇冒険小説も多く発表。1902年ナイトの爵位を受けた。晩年は心霊学に熱中。
→関連項目心霊研究協会推理小説パンチフーディニ

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世界大百科事典 第2版の解説

ドイル【Arthur Conan Doyle】

1859‐1930
イギリスの小説家。コナン・ドイルともよぶ。スコットランドに生まれ,エジンバラ大学で医学を修める。医師として開業したが成功せず,余暇をもてあまして書いた,素人探偵シャーロック・ホームズを主人公とする一連の小説でしだいに人気を得,医者を廃業して小説家を職業とする。シャーロック・ホームズが登場する推理小説ばかりが評判になって,自分が本当に書きたい歴史小説が高く評価されないことに不満を抱き,一時自分の筆でホームズを殺してしまったが,一般読者の強い要望で彼を復活させた。

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大辞林 第三版の解説

ドイル【Arthur Conan Doyle】

1859~1930) イギリスの小説家・医者。代表作、推理小説「シャーロック=ホームズの冒険」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ドイル
どいる
Sir Arthur Conan Doyle
(1859―1930)

イギリスの推理作家。推理小説の開祖であるとともに、推理小説上の名探偵の象徴ともいうべきシャーロック・ホームズの創作者。推理小説というジャンルに初めて手を染めたのはポーであるが、それを確立させたのはドイルである。名探偵とその話の受け手であり助手であるワトソン役、そして不思議な事件を持ち込む依頼人というホームズものの型は、推理小説の正統な一つの典型として、クリスティをはじめとする以後の作家にも受け継がれ、今日もなお続いている。
 1859年5月22日エジンバラに生まれ、エジンバラ大学の医科で学ぶ。1882年、ポーツマスで医師を開業し、患者の少ない暇にまかせて、すでに学生時代から書いていた小説の執筆に力を入れるようになり、ガボリオやポーの作品に強い印象を受けて、初めてホームズの登場する長編『緋色(ひいろ)の研究』を1887年に発表した。続いて1890年には長編『四つの署名』を著し、しだいに人気が高まった。翌1891年3月ロンドンで開業したが、やはり患者がこないので、著述に専念することとし、ホームズものの最初の短編『ボヘミアの醜聞』を『ストランド』誌に発表した。その好評にこたえてホームズものの短編を次々に書いたが、20数編ののちにホームズを殺してしまう予定であったという。しかし読者の要望は強く、57編(うち死後発表の遺稿1編)を書き続けた。人によって好みは違うが、これら短編中『赤毛連盟』『まだらの紐(ひも)』『ソア橋事件』などは世評が高い。長編としては『バスカービル家の犬』が有名である。作品のどれにもアイデアとくふうがあり、時代が早かったせいもあってそのトリックも平明なので、日本では児童名作読物としても広く歓迎されている。
 これらのほかに、ホームズものでない推理小説、冒険小説、科学小説などかなりの数を発表している。晩年愛息を失ってからは、以前から興味のあった心霊学に凝ったが、同時に愛国者として社会運動や政治運動にも活動し、この業績でサーの称号を与えられた。1930年7月7日、71歳で没。[梶 龍雄]
『J・D・カー著、大久保康雄訳『ドイル』(1980・早川書房) ▽ローゼンバーグ著、小林司他訳『シャーロック・ホームズの死と復活――ヨーロッパ文学の中のコナン・ドイル』(1982・河出書房新社)』

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世界大百科事典内のドイルの言及

【シャーロック・ホームズ】より

…イギリスの小説家A.C.ドイルが長編小説《緋色の研究》(1887)で初めて登場させた素人探偵で,この物語の語り手ジョン・H.ワトソン医師と共同で,ロンドンのベーカー街の下宿に住み,一般人が持ち込むなぞの事件や,警察が解決できなくて頼みに来る難事件を,明快な推理と機敏な行動力によって解決する。このホームズ探偵とワトソン医師の名コンビは,次の長編小説《四つの署名》(1890)でも登場するが,まだ評判は高まらなかった。…

【推理小説】より

…人間味豊かな警官の推理作業をとり入れている点も,ポーと違った特徴である。 以上のような土壌の上に,コナン・ドイルの〈シャーロック・ホームズ〉シリーズの花が開くこととなる。この名素人探偵が初登場するのは長編《緋色の研究》(1887)だが,形式的にはポーのデュパンと同じであり,またポーのアイデアをドイルはかなり借用している。…

【ハリーすい星(ハリー彗星)】より

…このため日本では桶に水を張り,顔をつけて呼吸を止める練習が行われたり,欧米では地下室に目張りして閉じこもる試みがなされたりもした。A.C.ドイルの小説《毒ガス帯》(1913。邦訳《地球最後の日》)などはその小説化である。…

※「ドイル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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