申告書公示制度の廃止(読み)しんこくしょこうじせいどのはいし

知恵蔵 「申告書公示制度の廃止」の解説

申告書公示制度の廃止

申告書公示制度とは、いわゆる高額納税者の氏名住所所得税額を公表する制度。所得税、法人税、相続税の申告書が提出された場合に、税額、課税対象金額が一定額を超えるものについて、税務署がその納税者の住所・氏名、税額などを一定期間公示することになっていた。この制度が、2006年度税制改正によって廃止された(06年4月1日以後)。従来、所得税の場合、所得税額が1000万円超の者が対象となり、上位者は「高額納税者番付」などとして報道されてきた。公示の基準は、相続税では課税価格2億円超、贈与税では同4000万円超、法人税では同2000万円(事業年度が6カ月を超える場合には4000万円)超、が基準となっていた。この制度は1950年に導入され、公示によって第三者のチェックを受ける効果を期待したものである。しかし、個人情報保護法施行を機に、国の行政機関が保有する情報の一層適正な取り扱いが求められるとされ、毎月の法人の公示のほか、所得税額が1000万円を超える高額納税者の公示等が廃止された。

(浦野広明 立正大学教授・税理士 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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