相続税(読み)そうぞくぜい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

相続税
そうぞくぜい

相続税法に基づいて個人に課せられる国税権利能力のない社団法人,財団法人,公益法人に対して課せられることもある。課税対象となる財産は,(1) 死亡した者から相続遺贈によって取得した財産,(2) 死亡退職金など相続や遺贈によって取得したものとみなされる財産,(3) 被相続人から死亡前の 3年以内に贈与により取得した財産,(4) 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産など。税額は,遺産の総額から基礎控除額(非課税財産額,債務額,葬式費用,相続人親疎や数を考慮して算出)を差し引いた残額を,各相続人が相続分に応じて案分し,それに所定の税率を乗じて得た額から,配偶者控除,未成年者控除,障害者控除などを差し引いた金額となる。納期限は,被相続人が死亡したことを知った日の翌日から 10ヵ月以内。納期限内に現金で全額を納付することが困難なときは,延納という最長 20年の分割納付制度が利用でき,延納期間中は利子税の納付が必要となる。延納による納付が困難なときは,物納への変更が認められている。

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知恵蔵の解説

相続税

相続、遺贈、死因贈与により財産を取得した相続人などに課される税。相続税の課税最低限である基礎控除額は[5000万円+1000万円×法定相続人数]。亡くなった人の配偶者が相続、遺贈、死因贈与などで財産をもらった場合、その後の生活を保障するため相続税が軽減される。相続税法は、配偶者の取得額が1億6000万円以下か、取得財産が民法の定める法定相続分以下であれば相続税をかけないこととしている。遺産の分割は、遺言で分割の基準や方法が定められていればこれによる。遺言がなければ個々の財産について、どの相続人がどれだけの権利を持つかが決まっていないため、相続者間の遺産分割の協議により遺産分けをする。

(浦野広明 立正大学教授・税理士 / 2007年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

相続税

立命館大の三木義一教授によると、米国や英国、ドイツなどでの歴史が古く、日本では1905年、日露戦争で財源調達の必要性が高まったことを背景に欧米にならって導入された。先進国に多く、途上国には少ないイメージがあるが、最近ではブッシュ米政権が2010年までに廃止する方針を決めたほか、イタリアも既に廃止するなどの動きが広がっている。

(2007-10-30 朝日新聞 朝刊 アジア)

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百科事典マイペディアの解説

相続税【そうぞくぜい】

相続税法(1950年)に基づき,相続または遺贈により財産を取得した者がその取得財産に対して課される国税。遺産総額が基礎控除額(5000万円と相続人1人につき1000万円を加算した額)を越える場合に,その超過分に課税され,800万円以下10%から20億円超70%の超過累進税率を適用。相続人が複数のときは,各人の法定相続分ごとの相続税を算出し,その総額を各人の相続額に案分する。死亡後6ヵ月以内に申告納税を要するが,年賦延納・物納もできる。1996年度税制改正により,相続前3年以内に取得した土地等にかかわる課税の特例が廃止された。
→関連項目贈与税

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株式公開用語辞典の解説

相続税

1年ごとの所得に課税される所得税などとは異なって、故人が一生をかけて築きあげた財産全体に課税される税金のこと。相続税を納めるのは、原則として亡くなった人(=被相続人)の財産を受け継いだ個人(=相続人・受遺者)で財産を受け取った人にかかる。民法の定めにより、相続財産を相続人が受け継ぐ法定相続と遺言によって指名された人がもらう遺贈がある。現金・預貯金有価証券・不動産などはもちろんのこと、営業権や借地権などのように金銭に見積もることのできる経済的価値のあるもの全てのものを含み、有形無形を問わず、相続税はかかる。また、相続が起こる前の3年以内の贈与により取得した財産(贈与税の配偶者控除の適用を受けた部分を除く)にも相続税がかかることになっており、贈与税という。

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不動産用語辞典の解説

相続税

相続や遺贈(遺言によって財産を贈与すること)で取得した財産にかかる税金を「相続税」といいます。
但し正味の遺産額が基礎控除額(5,000万円+法定相続人の数×1,000万円)を超えたものが課税の対象となります。
税率は、10%から70%の超過累進税率が適用されます。
原則金銭による納付ですが、税務署が認めれば、物納や年賦延納も可能です。

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世界大百科事典 第2版の解説

そうぞくぜい【相続税】

相続税は財産の移転に対して課される特殊な財産税である。課税の客体としては大きく分類してフローとストックがあるが,財産税はストックである財産のある特定時点における評価額を課税標準として課税するものである。相続税というのは,財産所有者の死亡によって生ずる財産の移転に対して課される税であり,その起源は相続財産の名義書換えのときに登記所が徴収した手数料に求められるが,それが印紙税登録税の性格を帯びるようになり,やがて相続税に発展したとされる。

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大辞林 第三版の解説

そうぞくぜい【相続税】

相続・遺贈・死因贈与により財産を取得した個人に課せられる国税。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

相続税
そうぞくぜい
death duty

相続や遺贈などによって取得した財産に対して課される税金。基幹課税としての所得税を補完するとともに、富の再分配という観点から、富の集中を排除する機能を有する。
 相続税には、遺産税estate taxと遺産取得税inheritance taxの2種類がある。遺産税は、被相続人の財産(相続財産)に課税する制度であり、相続財産から税金を差し引いた後に、残りを相続人が分けることになる。人は生前中に取得した財産の一部を死亡にあたって社会に還元すべきである、との考え方に基づく制度であり、イギリスやアメリカで採用されている。これに対して、遺産取得税は、相続人が相続によって取得した財産(=相続人の所得)に課税する制度である。相続という偶然の事情による富の増加を抑制することを目的とし、ヨーロッパ大陸諸国において採用されている。
 日本の相続税は、1905年(明治38)に設けられて以来、遺産税の制度を採用していた。しかし、1950年(昭和25)にシャウプ勧告(アメリカの税制使節団による税制改革勧告)に基づく税制改正が行われ、担税力に応じた公平な課税である遺産取得税の制度に改められた。ただし、1953年および1958年の改正によって、原則として遺産取得税の制度を採用しつつ、税務行政の執行上の便宜性が高い遺産税の長所も取り入れられた。すなわち、相続税の総額を、遺産の総額と法定相続人の数およびその法定相続分によって決定することとし、相続にすべての遺贈も含めて、同じ被相続人の遺産からの財産取得者である受遺者にも相続税を負担させることとした。これが現行の課税制度である、法定相続分課税による遺産取得税方式である。[野澤正充]

現行制度

相続税は、「相続や遺贈、生前に被相続人から贈与された財産(相続時精算課税制度の適用を受けて取得したもの)の合計額」から「非課税財産、葬式費用、債務分」を控除し、これに「相続開始前3年以内の贈与財産の価額」を加算した額(正味の遺産額)から、基礎控除額(課税最低限)を引いた額(課税遺産総額)に対して課される。
 上記の相続時精算課税制度とは、2003年(平成15)に創設された制度で、60歳以上の父母または祖父母から生前贈与を受けた推定相続人(20歳以上の子と孫)が贈与時に一定の税率で贈与税を納めておき、贈与者が死亡した際(相続時)に贈与財産と相続財産を合計した価額をもとに算出した相続税額から、すでに納めた贈与税額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税をすることができる制度である。また、非課税財産とは、(1)墓地や墓石、仏壇、仏具など日常礼拝をしているもの、(2)宗教、慈善、学術等の公益を目的とする事業を行う個人などがその事業に使うことが確実なもの、(3)相続・遺贈によって取得した生命保険金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分、(4)相続・遺贈によって取得した退職手当金等のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分、などである。
 基礎控除額は、2003年の改正時は、5000万円+(1000万円×法定相続人の数)であったが、2015年の改正により、3000万円+(600万円×法定相続人の数)となった。そして、この基礎控除額を超える部分の遺産額を、法定相続人が民法の法定相続人の割合にしたがって相続したものとした場合の各取得分の価額に対して、1000万円以下の部分に適用される10%から、6億円超の部分に適用される55%までの超過累進税率を適用して相続税の総額を求める。この総額を各相続人および受遺者の課税価格により案分した額が、各納税義務者の納付すべき相続税額となる。
 上記基礎控除額のほかに各種控除・特例が設けられている。被相続人の配偶者の場合は、遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が(1)1億6000万円、(2)配偶者の法定相続分相当額、どちらか多い金額が控除される(配偶者控除)。その他、未成年者控除(その未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円控除)、障害者控除(その障害者が満85歳になるまでの年数1年につき10万円控除)、相次(そうじ)相続控除(相続開始前10年以内に被相続人が相続・遺贈等によって財産を取得し相続税が課されていた場合、一定の金額を控除)、小規模宅地等の特例(事業用と居住用の特例があり、要件により50%または80%の減額)などがある。
 各納税義務者は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告および納税をしなければならない。また、被相続人の死亡時における住所が日本国内であった場合の申告書の提出・納税先は、被相続人の住所地を所轄する税務署となっている。[野澤正充]

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世界大百科事典内の相続税の言及

【シャウプ勧告】より

…そのうえで納税協力確保のために所得税率の最高限度を大幅に引き下げる一方,高額所得階層には富裕税を用意し,生産や投資への阻害作用を避けつつ,しかも所得課税の高度累進を実質的に保ち,かつ資産所得の逋脱(ほだつ)を防ごうとした。相続税を,相続財産および贈与財産について一生を通じる累積課税としたのも,資産保有の集中を防ぎ,高額資産に確実に課税しようという趣旨である。税務行政改善のためにいわゆる青色申告を導入したのもこの勧告の重要な貢献であった。…

【土地問題】より

…また土地租税には,土地の売買によって実現するキャピタル・ゲイン(資産の値上がり利益)の一部を公共に還元させることによって所得の再分配を進める機能もある。租税は一般的に所得税,流通税,財産税に分類されるが,日本の現行の土地租税には譲渡所得税(所得税),不動産取得税・登録免許税(流通税),固定資産税・都市計画税・特別土地保有税・相続税・譲与税および新設の地価税(1992年施行)(財産税)などがある。これらのうち財産税は,土地を所有することに対して,その土地の市場価格に一定率を乗じた額を課税するものであり,土地所有者はこの税がかけられると税負担に耐えるために土地を手放すか,あるいはみずから土地の有効な利用を進めなければならなくなるから,いずれにしても土地市場における供給促進の効果が期待できる。…

※「相続税」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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