普及版 字通 「甸」の読み・字形・画数・意味
甸
7画
[字訓] いなか・おさめる・かり
[説文解字]
[金文]
[字形] 会意
田+人。〔説文〕十三下に「天子五百里の地なり」とし、字を(包)(ほう)の省声に従うとするが、金文の字形は田の旁らに人をそえた形で、田野を司る人の意であろう。〔周礼、天官、甸師〕の職にあたる。金文には周初の〔令彝(れいい)〕に「侯、侯・田・男」、また〔大盂鼎(だいうてい)〕に「殷の邊侯田と殷の正百辟(へき)」の語があり、田・男はいずれも農耕地の支配・管理者をいう。〔克鐘(こくしよう)〕に、克が巡撫を命ぜられたとき、甸車を賜うことがしるされており、〔詩、小雅、車攻〕にいう「田車に好し」も、甸車のことであろう。狩猟にも用いる車であった。
[訓義]
1. いなか、郊外、遠郊。
2. 天子五百里の地。王城を去る千里の外、幅五百里の地。甸服、九畿の一。
3. 治める、耕作地を治める、耕作地。
4. 耕す、たつくる。
5. 狩りする、狩りする車。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕甸 ヲク・ツク・ヲサム 〔字鏡集〕甸 カリ・ツク・ヲサム
[語系]
甸・田・畋・佃dyenは同声。農耕と畋猟(でんりよう)とは、もと採取経済的な行為で、それぞれ似た行為であるから、同じ語を用いた。
[熟語]
甸宇▶・甸役▶・甸畿▶・甸侯▶・甸師▶・甸人▶・甸帥▶・甸地▶・甸甸▶・甸徒▶・甸農▶・甸服▶・甸燎▶
[下接語]
禹甸・王甸・海甸・郭甸・畿甸・丘甸・区甸・江甸・侯甸・荒甸・郊甸・山甸・大甸・芳甸・邦甸・林甸
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報