田野(読み)でんや

精選版 日本国語大辞典 「田野」の意味・読み・例文・類語

でん‐や【田野】

〘名〙
田畑野原
太平記(14C後)二六「田野(テンヤ)ひらけ平にして」 〔孟子告子・下〕
② 田畑や野原のある所。いなかをいう。
※清原国賢書写本荘子抄(1530)六「野語は田野の語也」 〔聞見後録‐巻一〇〕

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デジタル大辞泉 「田野」の意味・読み・例文・類語

でん‐や【田野】

田と野原。また、いなか。
[類語]野原平原広野ひろの広野こうや広原高原原っぱ松原草原そうげん草原くさはら草地野中野良野末野面

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日本歴史地名大系 「田野」の解説

田野
たの

「豊後国風土記」速見郡の項にみえ、白鳥伝承説話の地とされる。同風土記によれば、速見郡家の南西に位置したという。また「この野は広大にして、土地肥沃開墾の便、この土に比するなし。昔者、郡内の百姓、この野に居し多くの水田を開き、糧に余りて畝に宿めき。大いに奢り、すでに富みて、餅を作り的となしき。時に、餅は白鳥となりて発ちて南に飛びき。当年の間、百姓死に絶えて、水田つくらず、ついにもって荒廃す。時より以降、水田に宜しからず。今田野というは、これその縁なり」と記される。しかし「塵袋」「塵添嚢抄」などは豊後国球珠郡内の野で、むかし大分郡の人が移住して豊かになったが、酒食に奢り、餅を的に遊ぶようになり、その餅が白鳥となって飛去ってからは衰微・荒廃し、その後天平年間(七二九―七四九)に速見郡の訓邇という人が入植したが、植えた苗はみな枯れてしまうので耕作を放棄したとしている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「田野」の意味・わかりやすい解説

田野
たの

宮崎県南部、宮崎郡にあった旧町名(田野町(ちょう))。現在は宮崎市の南西部を占める地域。旧田野町は1950年(昭和25)町制施行。2006年(平成18)宮崎市に編入。旧町域の中央部を占める河岸段丘は、かつて原野をなしていたため田野と称せられたという。日南(にちなん)山地最高峰で県立自然公園になっている鰐塚山(わにつかやま)(1118メートル)を含み、清武(きよたけ)川の上流松山(まつやま)川が流れる。JR日豊(にっぽう)本線、国道269号、宮崎自動車道が通る。江戸時代飫肥藩(おびはん)に属した。畑作が盛んでダイコンサツマイモサトイモ葉タバコの収穫が多い。干し大根が特産品。

[横山淳一]

『『田野町史』全2巻(1983~1984・田野町)』

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改訂新版 世界大百科事典 「田野」の意味・わかりやすい解説

田野[町] (たの)

高知県南東部,安芸郡の町。人口2932(2010)。奈半利(なはり)川河口西岸に位置し,土佐湾に面する。江戸時代,奈半利川上流の魚梁瀬(やなせ)の木材を積み出すため田野に港が整備され,藩の御用商人を務める米屋(岡氏)など豪商の幅広い活動で,当地は発展した。幕末には安芸郡奉行所が置かれ,併設された田野学館では洋式砲術の教授も行われた。1864年(元治1)当地の豪士清岡道之助ら安芸郡下の土佐勤王党関係者23人が東方,現北川村の野根山に屯集して藩政の転換を求めるという野根山事件が起こり,捕らえられた彼らは奈半利河原で処刑された。町内福田(ふくでん)寺にその墓がある。温暖な気候に恵まれ,製材業と施設園芸を主体とする農業が盛んである。特に魚梁瀬杉を原木とする銘木製品の販売市は広く知られ,水産業も行われている。土佐くろしお鉄道が通じる。
執筆者:

田野 (たの)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「田野」の意味・わかりやすい解説

田野
たの

宮崎県中部,宮崎市南西部の旧町域。鰐塚山地の北部,清武川の上流域にある。 1950年町制。 2006年宮崎市に編入。江戸時代は飫肥藩領。約半分を国有林が占め木材を産するが,主産業は農業で,米のほか,ダイコン,サトイモの生産が盛ん。干しダイコンと葉タバコの生産量は国内有数。地域の一部はわにつか県立自然公園に属する。

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デジタル大辞泉プラス 「田野」の解説

田野

宮崎県宮崎市にある道の駅。主要地方道日南高岡線に沿う。

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