改訂新版 世界大百科事典 「番神信仰」の意味・わかりやすい解説
番神信仰 (ばんじんしんこう)
番神は三十番神の略称。日本国中にまつる30の神々が,1ヵ月30日の間,毎日,順番に国家と人々を守るという信仰である。神仏習合思想から生まれた信仰で,平安時代中期には如法(によほう)経守護の神として仰がれた。京都を舞台に日蓮宗を広めた日像は,三十番神信仰をとり入れて,《法華経》の広まる国土の守護神としてまつった。この後,京都をはじめとする各地の日蓮宗寺院では番神信仰が盛んとなり,境内に番神堂を構えた寺も多い。本堂に備える過去帳にも,その日の番にあたる神名が中央に書き記されている。なお,日蓮宗でいう三大番神とは,定徳寺(名古屋市中村区),護国寺(長崎県島原市),妙行寺(新潟県柏崎市)である。
→三十番神
執筆者:中尾 尭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報