精選版 日本国語大辞典 「異者」の意味・読み・例文・類語
けな【異】 者(もの)
- ① 特にすぐれている者。けなげな者。殊勝な人。けな人。けの者。
- [初出の実例]「奴(やつ)はけな者(モノ)かな」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)中)
- ② 温和な者。また、柔弱な者。けな人。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ③ 怠け者。〔大全早引節用集(1796)〕
異者の語誌
「け(異)なり」がもととなって室町時代後半ころから「けなげ(なり)」が生まれ、「けなげもの」「けなげだて」などを派生し、勢力を拡大していく過程で、「けなもの」の語義のうち、①の意味を吸収していったと考えられる。その結果、「けなもの」は、②の語義に限定されていき、さらに③の語義を派生するまでになったものか。ただし、①から②への変化は併存期の長いゆるやかなものであった。