瘢痕性脱毛症
はんこんせいだつもうしょう
Scarring alopecia
(皮膚の病気)
いろいろな原因により毛包が破壊され、毛が生えてこなくなる状態をいいます。毛包のあった部位は瘢痕に置きかわり、毛包は消失しています(図101)。
毛包の峡部と呼ばれる部分には毛髪を作る毛母細胞の幹細胞があります。峡部が何らかの原因で壊され、幹細胞がなくなると瘢痕性脱毛症になります。さまざまな皮膚疾患、細菌や真菌の感染、熱傷、外傷、腫瘍の浸潤などが瘢痕性脱毛症の原因になります。
慢性円板状狼瘡、限局性強皮症、萎縮性硬化性苔癬、サルコイドーシスなどの瘢痕をつくる疾患が頭部に発症すると、瘢痕性脱毛症になります。
瘢痕性毛包炎あるいは禿髪性毛包炎と呼ばれる疾患は、主に男性の頭部に発症します。毛包がうみをもち、まわりの皮膚が赤くなります。進行すると毛が抜け、少しくぼんだ、光沢のある脱毛病変が現れます。
毛包に真菌が感染して強い炎症反応が起きると、ケルスス禿瘡(とくそう)と呼ばれる状態になります。頭の毛は抜け、残っている毛は抜けやすくなっています。治療が遅れると瘢痕性脱毛症になります。
前述した原因を確かめるための検査を行います。
何が原因になっているのかを明らかにすることが大切です。そのうえで原因になっている疾患の治療を行います。
原因疾患が治って瘢痕だけが残った状態では、小さい瘢痕性脱毛部は手術で切除して縫い縮めることができます。
瘢痕性脱毛症では、早期に発見して早期に治療を行うことが大切です。治療が遅れると脱毛の範囲が広がり、脱毛部位には二度と毛は生えてきません。瘢痕性脱毛症の原因になる疾患は数多くあり、診断や治療の難しい疾患が多く含まれています。瘢痕性脱毛症が疑われる時は、すぐに皮膚科を受診することが大切です。
嵯峨 賢次
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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毛髪用語集
「瘢痕性脱毛症」の解説
瘢痕性脱毛症
皮膚がやけどや外傷などで損傷を受け、その損傷で頭皮に瘢痕化して脱毛すること。他にもガンや真菌による感染などでも瘢痕化が起こり得る。一旦、皮膚が瘢痕化されると、そこには毛母細胞が存在しなくなり、髪の再生は不可能となってしまう。
出典 抜け毛・薄毛対策サイト「ふさふさネット」毛髪用語集について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の瘢痕性脱毛症の言及
【脱毛症】より
…(7)他皮膚疾患に伴う脱毛症 膠原(こうげん)病,毛囊性ムチン沈着症,梅毒,癩,頭部白癬(はくせん),頭部粃糠(ひこう)疹(ふけ症)等により,またはそれらに随伴して脱毛症が起こる。(8)瘢痕(はんこん)性脱毛症 毛母部の瘢痕性破壊による脱毛症で,脱毛性毛囊炎,萎縮性脱毛症などがこれに入る。(9)先天性脱毛症 先天的に毛の欠如した無毛症や,毛の少ない乏毛症もある。…
※「瘢痕性脱毛症」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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