国指定史跡ガイド 「皇子山古墳」の解説
おうじやまこふん【皇子山古墳】
滋賀県大津市錦織にある古墳。琵琶湖西岸の南部、京阪電鉄近江神宮前駅の西方に位置し、標高164mの皇子山と呼ばれる独立丘陵頂上にある前方後方墳。墳丘は全長約60m、後方部幅約35m、南に向けた前方部の幅約28mで、墳丘上には葺石(ふきいし)がある。後方部中央には埋葬主体部を納めたと思われる南北約10m、東西約7mの堀の一部が残り、前方部に粘土槨(ねんどかく)がある。形は奈良盆地に成立した大和朝廷の墓によく見られる前方後円墳ではなく前方後方墳で、当時の地方首長の墓と考えられている。この古墳は湖岸側だけが極端に先端が開き、墳丘も湖岸側だけに葺石が敷かれていて、琵琶湖からの眺望を意識して築造された形跡があり、支配地と思われる大津市街の全域を眺望できる。近江地方の古墳でも最古のもので、この古墳の少し東にある直径約20mの円墳(2号墳)とあわせて、1974年(昭和49)に国の史跡に指定された。京阪電鉄石山坂本線近江神宮前駅から徒歩約10分。