古墳の墳丘斜面を覆う礫(れき),またはその施設を指す。礫は拳大から人頭大の河原石がよく使われ,付近の河川から運ばれた。墳丘の全面が調査された兵庫県明石市の五色塚古墳(前方後円墳。194m)では,礫の総数は約220万個,総重量が約2800tと推定され,一部は淡路島から船で運ばれたと考えられている。最下部に根石と呼ばれる比較的大型の礫を配し,斜面を礫で区画し,その中を下から上へと葺く方法がとられていることがある。葺き方は墳丘に貼り付けただけのものから,二重,三重にていねいに組み上げたものまであり,同一墳でも表と裏とで差異のある場合が少なくない。葺石をもつ古墳の側面観は石積みの山のようにみえ,墳丘封土の流出防止とともに,周囲から墳丘を隔絶し,荘厳たらしめる機能があったかと推測されるが,大型古墳でもこれを施さない例もある。前・中期に発達するが後期には衰退する。古墳文化の周辺地域では葺石のない例が多い。
執筆者:和田 晴吾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
古墳の墳丘斜面に墳丘の崩落を防ぐために葺いた石。切土した地山あるいは盛土の上に砂利混りの土を敷き,その上に石を葺く。斜面下端に根石をおき,上方に界石を並べ,その空隙に川原石などを充填する。終末期古墳にみられるような,平らな面を表にして表面が平らになるように敷いたものは貼石(はりいし)とよぶ。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…また,くびれ部付近の片側あるいは両側に設けられることのある方形台状の施設を〈造り出し〉という。墳丘は自然地形の削り出しと盛土とで作られ,斜面に葺石が施される場合が多いが,塊石や河原石を積んで築かれる積石塚(つみいしづか)も存在する。大型の例は2段,3段に築かれるのが普通で,前後の墳頂部は平たんに作られ,一部のものには方形壇が設けられている。…
※「葺石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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