改訂新版 世界大百科事典 「皇室服喪令」の意味・わかりやすい解説
皇室服喪令 (こうしつふくもれい)
〈ふくそうれい〉とも読む。皇室の服喪の制は,大宝・養老の喪葬令(そうそうりよう)の規定に準拠しながら,時勢の推移に応じ,武家の慣行も加味して運用されてきたが,1909年皇室服喪令が制定されるに及び,ようやく一定した。同令は総則,大喪,宮中喪,喪期区分の4章33条より成る。すなわち天皇が大行天皇(没後追号以前の尊称),太皇太后,皇太后,皇后の喪に当たるのを大喪(たいそう)といい,とくに大行天皇,皇太后および生母たる太皇太后の大喪を諒闇(りようあん)(期間1年)とし,大喪以外の天皇の服喪を宮中喪とする。大喪には全国民が喪に服し,宮中喪には皇族および宮内官吏が服喪する。天皇は皇族以外の親族の喪には服さず,皇族は皇族,華族以外の親族の喪には服さない。また外国王室の喪に際しては,そのたびに勅定して宮中喪を発する。そのほか服喪の期間,喪期の区分(2期または3期に分ける)などが定められた。1947年同令廃止後も,皇室の服喪はこの規定を取捨して行われている。
執筆者:橋本 義彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報