皇荘(読み)こうそう(英語表記)Huáng zhuāng

改訂新版 世界大百科事典 「皇荘」の意味・わかりやすい解説

皇荘 (こうそう)
Huáng zhuāng

中国,明代において,皇帝皇太子,在京諸王,皇太后などの皇族が私的に領有した土地をいう。地方で藩王となった諸王や外戚の荘田と区別して,とくに皇荘と呼んだ。官田の一種ではあるが国家財政の主要な収入源である一般の官田とはまったく性格を異にする。この名称がはじめて史上に現れるのは,1464年(天順8)宦官曹吉祥からの没収地を皇后の荘田としたときであるが,皇室の私的領有地は古く漢代より見られ,明代皇荘の実質的起源も,すでに1425年(洪熙1),宣宗が母張太后のために仁寿宮荘を設けたときにはじまる。皇荘の総数は,全盛期の1514年(正徳9)ごろで36ヵ所,面積3万7000余頃(約21万ha)に達し,それらのおもな所在地である畿内(河北省)の順天・河間・真定・保定四府の官民田土の総面積の22%に相当した。皇荘の管理は朝廷派遣の宦官に多くゆだねられていたため,州県の官吏や皇荘の付近の民田所有者との紛争が絶えず,嘉靖年間(1522-66)以後,その設置はかなり制限され,清代に入ると,明代の皇荘はすべて内務府官荘とされた。
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世界大百科事典(旧版)内の皇荘の言及

【荘園】より

… なお王室に直属する荘園は,唐代ではとくに内荘宅使という官を置いて管理していた。宋代にはそうしたものは姿を消したが,明・清時代になると諸王や勲戚の荘田や皇荘が再び現れる。とくに皇荘は北直隷に集中し,清代になると盛京,山西,直隷などに内務府官荘が多く設けられた。…

※「皇荘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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