皮膚凍結療法(読み)ひふとうけつりょうほう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「皮膚凍結療法」の意味・わかりやすい解説

皮膚凍結療法
ひふとうけつりょうほう

皮膚の病巣に低温を作用させて凍結壊死(えし)に陥らせ、その後新生してくる組織で置換することを期待して行う治療法。疣贅(ゆうぜい)(いぼ)や母斑(ぼはん)、血管腫(しゅ)、上皮腫などのほか、ときには悪性腫瘍(しゅよう)の治療にも用いられる。わが国では1911年(明治44)以来、雪状炭酸圧抵法が行われてきたが、近年は液体窒素がよく使われている。皮膚科では次の三法が行われている。(1)綿球法 綿球に液を含ませて病巣に直接あてがう方法で、病巣部の温度は零下26℃くらいまで下げることができる。(2)銅ディスク法 特殊な凍結装置が必要で、銅製の凍結端子を病巣にあてて冷却する。端子先端は零下190℃であるが、病巣内では零下60℃くらいが限度である。(3)噴霧法 前者と同様の装置を使用し、一定の圧力で吹き付ける方法で、零下40℃くらいが得られる。

[水谷ひろみ]

『亀谷壽彦他監修『凍結手術――その理論と実際』(1976・中外医学社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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