日本大百科全書(ニッポニカ) 「直裰」の意味・わかりやすい解説
直裰
じきとつ
法衣(ほうえ)のこと。俗に「ころも」と称される。上半身を覆う偏衫(へんさん)と腰より下をまとう裙子(くんず)を、ただちに綴じたものであるため、直綴とも書く。インドの律蔵ではみられず、中国の南宋(なんそう)代に初めてつくられた。初めは衣(ころも)も袈裟(けさ)も同じであったが、のちに両者を区別し、三衣(さんえ)(僧伽梨衣(そうぎゃりえ)、鬱多羅僧衣(うったらそうえ)、安陀会(あんだえ))を袈裟、直裰を「ころも」と称した。道元(どうげん)の『宝慶記(ほうきょうき)』によれば、南宋代に盛んに流行していたことが明らかである。しかし、古風を慕うならば、偏衫、裙子を着けよと教えている。江戸時代に至り、各宗で用いられる常用服となった。
[川口高風]
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