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袈裟 けさ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

袈裟
けさ

サンスクリット語 kaṣāya (「色の濁った」「よごれた」の意) の音写仏教の僧侶のまとうの一つ。インドの仏教では赤,白などの色で染められた衣を禁じ,種々の色の溶け合った色を用いたので,その色からこのように名づけられた。元来,出家修行者はチーバラと称する三衣 (さんえ) を用いたが,仏教の諸国への伝播とともに変化し,中国,日本などでは種々の形のものがみられる。日本では僧の標識として衣服の上から着用され装飾化している。法会の際は錦綾,金襴,金紗などの織物を細長く裁断し,これを継ぎ合せた五条,七条,九条などの裟を着用し,平素は五条袈裟を変形した簡単な袈を用いる。また禅宗の絡子 (らくす) ,天台,真言宗の輪袈裟修験者結袈裟 (ゆいげさ) などはさらに簡略化された形式

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

袈裟

仏教の僧侶が着る僧服のひとつ。四角い布きれを縫い合わせて大きな長方形の一枚の生地に仕立てている。日本では法衣の上に袈裟を着ける。衣服に対する欲望を起こさせないために、仏教発祥のインドで定められた。語源はサンスクリット語の「カシャーヤ」で、鮮明な原色系ではない濁った色を意味するといわれている。縦に区切られている数により、五条袈裟、七条袈裟九条袈裟などと呼ばれる。五条袈裟は作業着、七条袈裟は普段着、九条以上の袈裟は正装用に用いられることが多い。禅宗では師が自分の袈裟を弟子に与え、正しく教え伝えた証しとした。師から弟子へと受け継がれた袈裟は「伝法衣(でんぽうえ)」と呼ばれている。

(2010-11-15 朝日新聞 夕刊 こころ)

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デジタル大辞泉の解説

けさ【××裟】

《〈梵〉kasṣayaの音写。赤褐色の意で、染衣(せんえ)・壊色(えじき)などと訳す》
インドで制定された僧侶の衣服。青・黄・赤・白・黒の正色を避けて濁色の布を用いたところからの名。縫い合わせた布の数により、五条、七条、九~二五条の3種がある。中国・日本と伝えられる間に仏教の標幟(ひょうじ)としての法衣にかわり、衣の上に左肩から右脇下にかけてまとう長方形の布となり、華美で装飾的なものとなった。宗派によって種々のものがある。功徳衣(くどくい)。福田衣。無垢衣(むくい)。
袈裟懸け」の略。「袈裟に切る」

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百科事典マイペディアの解説

袈裟【けさ】

サンスクリットkasaya(カサーヤ)の音写。出家法衣で,欲心を離れ他と区別する意で,華美でない濁った色,拾った布を綴(つづ)るのを原則とし,大・上・下の三衣各1枚の四角な布と制せられた。
→関連項目奈良晒

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世界大百科事典 第2版の解説

けさ【袈裟 kashāya[サンスクリツト]】

もともとは色名で,壊色(えしき),濁色(じよくしよく)などと訳される。インドの仏教僧団で,不用になったり,捨てられた長短の布片を縫い合わせて,僧尼の着用すべきものとして制定された3種類の衣(三衣(さんえ))を袈裟と称した(図)。すなわち僧伽梨(そうぎやり),鬱多羅僧(うつたらそう)と安陀会(あんだえ)の三つである。僧伽梨は大衣,重衣ともいわれ正装衣に,鬱多羅僧は上衣として礼仏や説法の聴聞に着用し,安陀会は内衣と称して日常の作業や肌着用に用いられた。

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大辞林 第三版の解説

けさ【袈裟】

sāya 不正色・壊色えしきの意〕
インドで仏教者の着る法衣ほうえのこと。中国・日本では衣ころもの上に左肩から右腋下へかける長方形の布をいう。インドの法衣が形式化したもので、小さい四角の布を縫い合わせて作り、中国・日本では次第に色や布は華美なものが用いられるようになった。宗派によって各種の形式のものがある。功徳衣。無垢衣。福田衣。忍辱鎧にんにくがい。卓衣。
「袈裟懸け」の略。 「 -に斬る」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

袈裟
けさ

僧の着用する衣。サンスクリット語のカシャーヤkya(赤褐色の意味)の音訳。もとは色名で、衣の名称ではなかったが、比丘(びく)の衣が不正色(ふせいじき)(濁色)であったところから衣の名となった。『十誦律(じゅうじゅりつ)』巻27によると、インド、マガダ国のビンビサーラ王が仏を礼拝(らいはい)しようとしたところ外道(げどう)(異教者)であった。そのため、王は仏および仏弟子と外道を区別できる衣服を願い、仏には袈裟(けさ)を着ることを制定した。形は、田の畦畔(けいはん)が整然としているのを見て、長い布と短い布をつなぎ合わせてつくることを指示した。袈裟の条相が田の畦(あぜ)をかたどっており、田に種を播(ま)けば秋に収穫があるように、仏を供養(くよう)すればかならず諸々(もろもろ)の福報を受けるという意味から、袈裟は福田衣(ふくでんえ)ともいわれる。ほかに、掃きだめなどから拾った布を使用することから弊衣(へいえ)、糞掃衣(ふんぞうえ)、小さく切った布片を何枚も縫い合わせたことから割截衣(かっせつえ)、衲衣(のうえ)ともいう。衣財は、綿、麻、絹、樹皮、毛などなんでもよく、色は青、黒、木蘭(もくらん)の濁った壊色(えじき)にする。大きさは、各人の身長に応じてつくられ、縦三肘(ちゅう)、横五肘の幅の局量法(こくりょうほう)と、衣財を直接体に当てて全体の長さを測る度量法がある。種類は、縫い合わせた布片の数により、五条(安陀会(あんだえ))、七条(鬱多羅僧衣(うったらそうえ))、九条~二十五条(僧伽梨衣(そうぎゃりえ))の3種があり、それらはいずれも奇数条である。奇数は陽の数として発展化育のもととなり、仏の教えは、永遠に割り切ることができないものであるからである。しかし、仏教が中国に伝播(でんぱ)するにつれて、生活資具の衣から仏教の標幟(ひょうし)となり、華麗な装飾的なものへと変遷していった。[川口高風]

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世界大百科事典内の袈裟の言及

【衣鉢】より

…日本で,茶道その他の諸芸の奥義を意味するのは,その転化である。インド仏教の戒律で,僧伽梨衣(普段着),鬱多羅僧(上衣),安陀衣(下着)という3種の袈裟(けさ)と,一つの鉢多羅,すなわち鉢盂(はつう)を所持することを認めたのが原義で,中国の禅宗では,五祖の法をつぐ神秀(じんしゆう)と慧能(えのう)がその衣鉢を争ったとされる。【柳田 聖山】。…

【衣帯】より

…衣帯は宗・派により名称,形状,用途が異なることが多いので,ここでは共通する事項についてのみ述べる。衣帯の基本は法衣(ほうえ)(いわゆる衣(ころも))と袈裟(けさ)で,それに被(かぶ)り物,履き物,持ち物等の付属品が加わる。衣帯を着けるには,下着として通常,白小袖(しろこそで)を着用し,その上に袴(はかま)の類をはき,法衣を着け,袈裟を掛けるが,袴類を用いない衣帯もある。…

【三衣一鉢】より

…僧伽梨(そうぎやり))のことで,これらはいずれも形や大きさ,色,縫製法,着用法などが定められていた。三衣を総称して〈袈裟(けさ)〉ともいうが,これはその色にちなんだ名称である。初期の出家者は質素な生活を旨としていたので,実際に私物として所有を許されたのはこの三衣一鉢と座具(ざぐ),漉水囊(ろくすいのう)の〈六物(ろくもつ)〉だけであった。…

【仏教美術】より

… 仏具は元来仏教教団の生活用具であったが,仏教が発展するにつれて儀式化し,工芸の粋を集めた多彩な優品が製作されるようになる。僧具のうち袈裟(けさ)はインドでは僧侶の生活着であったが,中国や日本では衣の上に,右肩から左腋下にかけて覆う儀式化したものとなる。横に布を継ぎ合わせた長方形の五条,七条,九条袈裟などがつくられ,奈良時代のものが正倉院や法隆寺献納宝物に遺存する。…

【結袈裟】より

…九条袈裟を山岳修行用に簡略化した修験道独自の袈裟。胸前左右に二つ梵天(房)の付いた二条,背の中央にも二つ梵天の一条を垂らし,その末端を威儀線の紐で固定するのが天台系の本山派の結袈裟で,梵天の色は,元来白か黒であったのが,現在は修験者の位階に応じて種々の色を用いる。…

※「袈裟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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