朝日日本歴史人物事典 「相李魚成」の解説
相李魚成
奈良時代の伎楽面作者。将李魚成とも書く。東大寺と正倉院にのこる木彫および乾漆造の面および面袋にその名が記され,また天平勝宝4(752)年4月9日の年記も認められることから,東大寺大仏の開眼供養会に使用された伎楽面を造ったことが知られる。銘記によりその作とわかる面は,正倉院に力士1面,太孤父1面,酔胡従7面の計9面と,面袋5点,東大寺に酔胡従1面がある。木彫と乾漆の両方の技法をこなし,木彫面には「将」李,乾漆面には「相」李と区別して銘記している。作風は,肉どりや表情の写実的把握に卓抜した技量をみせ,当代を代表する伎楽面作者のひとりとみなされる。<参考文献>石田茂作『正倉院伎楽面の研究』,正倉院事務所編『正倉院の伎楽面』
(浅井和春)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報