知恵蔵 「真実和解委員会」の解説 真実和解委員会 アパルトヘイト体制下で行われた政治的抑圧や人権侵害の真相を明らかにし、被害者の復権を目指すと共に民族和解を達成するために設置された委員会。南アフリカ共和国民主化後の1994年12月、「民族統合・和解促進法」が国会で成立した。同法の目的は、(1)反アパルトヘイト運動が非合法化された60年3月から暫定執行評議会が成立した93年12月までの人権侵害の調査、(2)政治活動で投獄された者の釈放、(3)政治的抑圧による犠牲者の復権などで、懲罰や復讐を目的としたものではない。そしてこの委員会の委員長には中立的立場にあるデズモンド・ツツ大司教(当時)が大統領により任命された。同委員会設置に対し、かつてのアパルトヘイトの推進者であった国民党から強い批判が出されたが、法案は成立し、96年4月、第1回の公聴会がイースト・ロンドンで開かれた。引き続き公聴会が各地で開かれ、デクラークは国民党擁護の証言を行ったが、P.W.ボタは病気を理由に出席を延期した。最終報告書は98年10月に公表された。公聴会での証言を約3500ページにわたってまとめたもので、人権侵害を行った人物・団体名を指摘し、加害者には刑事訴追を求めた。 (林晃史 敬愛大学教授 / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報