内科学 第10版 「真性多血症」の解説
真性多血症(血液疾患に伴う神経系障害)
真性多血症はJAK2遺伝子変異が原因の骨髄増殖性疾患であり,ヘモグロビン,白血球,血小板の増加をきたす.神経合併症は50〜80%でみられ,真性多血症による血液粘稠性の亢進により起こり,頭痛,めまい,視機能障害,異常感覚などがみられる.重篤なものとしては,脳梗塞・出血による局所神経徴候,海綿静脈洞血栓症による視力障害,網膜動脈閉塞症による単眼視力障害,乳頭浮腫,髄外造血による脊髄の圧迫などがある.まれではあるが,末梢神経障害,舞踏病,動眼神経麻痺なども起こる.脳梗塞は血液粘稠度の増加により起こり,またその後の再灌流も障害するため,梗塞巣の増大を招く危険性がある.Framingham 研究では,ヘモグロビン濃度は脳卒中発症リスクと相関することが示されており,適切な抗血栓療法や瀉血が勧められる.【⇨14-9-10)】[有村公良]
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報