眼瞼痙攣、眼瞼攣縮、Meige症候群

内科学 第10版 の解説

眼瞼痙攣、眼瞼攣縮、Meige症候群(錐体外路系の変性疾患)

(8)眼瞼痙攣,眼瞼攣縮(blepharospasm),Meige症候群
 眼瞼痙攣は一次性孤発性局所性ジストニア(眼部の局所性ジストニア(ocular dystonia))の1つで,有病率が高い.発症は50歳代で最も多く,男女比は約1:2~3である.閉眼に関与する眼瞼裂周囲の筋の両側性の間欠性または持続性異常収縮により,不随意な閉眼が生じ,円滑な開眼に支障をきたす.眼輪筋の不随意収縮が主体である.このほか,皺眉筋,鼻根筋,鼻筋など,眼瞼裂周囲筋の不随意収縮がしばしば合併する.軽症例では瞬目増加のみを呈する場合もあるが,重症化に伴い開瞼が不自由になる.重症例では終始閉瞼する(機能的盲となる).眼輪筋の収縮により,眉毛は眼窩上縁よりも下方に位置する(Charcot徴候).なお,光や風などの刺激で増悪することが多く,逆に暗所では軽快する.また,片目を覆うことで症状が軽減することがあり,一種の感覚トリック(sensory trick)と考えられる.臨床検査所見や画像所見には異常はない.
 治療方法は抗コリン薬が1/5の症例で有用であるが,ボツリヌス毒素注射が最も有効である.眼輪筋の不随意収縮が改善しない難治例では,眼輪筋切截術(ocular myectomy)の対象になる.また,ボツリヌス毒素注射後に上眼瞼皮膚余剰により眼瞼下垂を呈する例では,上眼瞼挙上術を考慮する.
 Meige症候群とは隣り合う複数部位のジストニア,すなわち分節性ジストニア(segmental dystonia)の1つで,両側性の眼瞼痙攣に加えて顔面正中部の舌,口輪筋などにみられる攣縮を示す.上方視で誘発,下方視で軽快,暗所や安静で軽快し,睡眠で消失する.一般には眼瞼痙攣と口・下顎ジストニアを合わせて示す病態をMeige症候群とよぶが,正確ではなく,実際には眼瞼痙攣と咽頭筋,顎部の筋群,口底筋,舌筋がさまざまな程度に障害されている場合が多い.[長谷川一子]

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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