化学辞典 第2版 「石炭熱分解」の解説
石炭熱分解
セキタンネツブンカイ
coal pyrolysis
石炭を加熱して,ガスやタール(コールタール)などの揮発分と,チャーまたはコークスの炭素質物質が生成する過程.脱揮発分ともいう.石炭燃焼,石炭ガス化,石炭液化,コークス製造の初期段階をさす.また,空気(または酸素)を供給せずに熱分解することを乾留とよぶ.熱分解過程は,基本的には,石炭構造中の含酸素官能基の分解や共有結合の開裂などを伴うラジカル反応である.製鉄用コークスの製造は,熱分解(乾留)がもっとも大規模に利用されている工業プロセスである.急速熱分解(またはフラッシュパイロリシス)は,石炭粒子を1 s に数千から数万K の速さで加熱する方法で,コークス製造に比べ,多量の液体芳香族炭化水素やタールを得ることができる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報