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石炭液化 せきたんえきか coal liquefaction

翻訳|coal liquefaction

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知恵蔵2015の解説

石炭液化

気体は液化して輸送すると効率がよいので、液化石油ガス(LPG)や液化天然ガス(LNG)のように、石油ガス天然ガスを液化して輸送することが行われている。石炭は固体のままでは扱いにくいので、輸送・貯蔵の面からガス化や液化が試みられている。石炭の平均分子量は石油の10倍あり、水素の含有率が低く、炭素分が多い。このため石炭液化は、高温高圧下での低分子への分解と水素添加が中心。ベルギウス法などの水素添加法のほか、溶剤処理液化法、乾留液化法、ガス化合成法がある。ガス化では、石炭、チャー(すす)、コークスに、ガス化剤(酸素または水蒸気)を反応させ、一酸化炭素、水素、メタンガスを製造する。

(槌屋治紀 システム技術研究所所長 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

せきたん‐えきか〔‐エキクワ〕【石炭液化】

石炭を適当な方法で分解し油状にすること。高温高圧で石炭に水素を作用させる方法などがある。

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百科事典マイペディアの解説

石炭液化【せきたんえきか】

石炭液体燃料に変換する技術。原理的には数種の方法があるが,代表的なものは石炭を高温(約500℃),高圧(約200〜700気圧)のもとで触媒を用いて水素と作用させることにより,高分子の石炭を分解し,同時に水素化,脱硫,脱酸素等の反応を起こさせて低分子量の液化炭化水素を得る接触水素化分解法
→関連項目水素化分解石炭化学石炭化学工業

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世界大百科事典 第2版の解説

せきたんえきか【石炭液化 liquefaction of coal】

固体である石炭を液体燃料に変換する技術をいう。第2次大戦中に,石油資源に恵まれない日本やドイツでは,軍事上の必要から,石炭からガソリンなどの液体燃料を生産する,いわゆる合成石油(人造石油)の技術がかなりの規模で実施された歴史がある。しかし戦後は豊富,低廉な中東産石油の出現によって,石炭液化は経済的に成立しえなくなった。ところが1973年の石油危機以降,石炭液化技術の必要性が再認識されはじめた。この技術は直接液化と間接液化に大別される。

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大辞林 第三版の解説

せきたんえきか【石炭液化】

微粉状石炭を二〇〇気圧以上の水素とともに摂氏500度前後に熱して、石炭の分解と水素添加を行い人造石油を得る方法。石炭の水素化分解。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

石炭液化
せきたんえきか
liquefaction of coal

固体である石炭から種々の方法で石油類似の液体燃料や化学原料を製造することを石炭液化とよび、石炭ガス化と並び称せられる。石炭の水素化分解、石炭の水素添加(石炭の水添)ともいい、第二次世界大戦中の人造石油とほぼ同義語である。[上田 成・荒牧寿弘]

石炭液化技術の開発と問題点

第二次世界大戦後アメリカはドイツの人造石油の製造技術を基に、絶え間ない技術開発を進めてきたが、当時進められていた石炭液化法は、旧ドイツ法である低温乾留法、直接液化法、間接液化法を改良発展させたもので、基本的には戦前の手法と変わらない。
 1950年代に米ソの冷戦時代を背景に開発研究は高まりをみせ、アメリカ鉱山局においてはドイツの技術を完全に吸収発展させた1日の石炭処理量が1500トンの大工場が計画されるまでになったが、冷戦の緩和と膨大な中東石油の発見によって計画は中止された。しかしながら、1973年のオイル・ショックによって、石油代替エネルギーの開発研究の必要性が世界的に認識され、とくにアメリカの開発研究を大幅に促進する結果となった。
 この間、一貫して石炭液化の経済性を改善するための努力がなされてきた。反応装置に関しては石油化学工業の発達と相まって、設計、材料、計装、自動制御のすべてを含む化学装置の面で格段の進歩を遂げたが、商業生産規模の面では1桁(けた)以上に拡大している。1日数万トンもの石炭を処理する商業規模の液化工場を実現するために、数十~数百トンのパイロット・プラントを使用した研究が続けられた。
 低温乾留法では、得られる液体収率が6~12%と低いのが欠点であったが、段階的に温度を上げていく多段乾留法や急速加熱法の開発によって、低温タールを完全に絞り出し、液体収率を25%に高めることに成功している。
 直接液化法は、石炭の微粉末に媒体油と触媒を均一に混合し、固液流体化された石炭スラリーを高温・高圧の水素雰囲気下(水素が共存する条件)で反応させる。すなわち、それぞれ性質の異なる固体(石炭、触媒)、液体(媒体油)、気体(水素)を同時にしかも高温・高圧下で反応させるもので、液体のみを反応させる石油精製技術に比べてはるかにむずかしい技術である。反応温度と圧力を可能な限り低下させて技術的な困難性と設備投資額を低減させるために、安価で活性の高い触媒の開発や、コバルト、モリブデンなど高価な触媒の効率的な使用法の開発、石炭の化学構造に立脚した合理的な液化反応の進め方、そして活性な水素を供与できるような媒体油の使用など、種々の改良が進められた。
 間接液化法は、石炭をいったんガス化し再度液状炭化水素を合成するために、直接液化法と比較して技術的に容易であるにもかかわらず、おもに熱効率が低いという理由で大きな開発計画は進められなかった。ただ、非常に安価な石炭を産出し、国際的に孤立した政治条件下にあった南アフリカ共和国においてのみ工業化が可能となり、1955年にSASOL(サソール)社のCTL(coal to liquids=合成液体燃料)がサソルバーグで生産開始された。その後のオイル・ショックが刺激となって、1976年にはセクンダに第二工場の建設を開始するなど生産拡大が進められ、1982年以降、1日当り合成燃料の生産規模は17.5万バレルになった。
 西ドイツはオイル・ショック以降、アメリカに次いで直接液化に力を入れ、1981年にエッセン郊外のボットロップに1日の石炭処理量が200トンのパイロット・プラントを完成するなど、新ドイツ法の開発研究を推進した。そのほかオーストラリア、イギリス、フランス、カナダ、中国などが直接液化に熱心であった。
 中国では内モンゴル自治区に1日の石炭処理量が6000トン規模の直接液化実証設備が建設(2004~2008年)され、2009年1月に300時間稼動したとの報道があった。その後の詳細な稼動状況は確認されていないが、ともかく中国は世界で唯一石炭の直接液化技術を商業化した国になった。[上田 成・荒牧寿弘]

日本における現状

日本でも大学、国立研究所、民間で基礎的な研究が続けられていたが、1950年代以降、石炭にとってかわった石油全盛の時代となった。しかし、液化技術が完全に消滅する寸前にオイル・ショックが到来し、1974年(昭和49)に通商産業省工業技術院(現、独立行政法人産業技術総合研究所)において発足したサンシャイン計画の一環として積極的に研究が推進された。さらに1980年には工業化研究を促進するため新エネルギー総合開発機構(現、新エネルギー・産業技術総合開発機構。略称NEDO(ネド))が設立され、オーストラリア政府の協力のもとにビクトリア州褐炭を利用する1日の褐炭処理量が50トンのパイロット・プラントがラトローブ・バリーに建設された。さらに1983年からは1日の瀝青炭(れきせいたん)処理量が250トンのパイロット・プラント建設計画も進められたが、150トン規模に縮小されて茨城県鹿嶋(かしま)市に建設された。
 石炭液化は第二次世界大戦後の技術開発の流れのなかで、液体燃料のみでなく、石油化学に対抗して化学原料(ケミカルス)の製造法としても着目されてきた。石炭の構造特性を生かして、フェノール、ナフタレン、ピリジンなどの芳香族有機薬品を液化油から分離精製しようとするもので、石炭化学の大きな柱となる可能性を有しており、石炭液化のコストを低減させると同時に、化学技術者の夢にかなった有効な利用法であるといえる。
 石炭液化技術開発は技術的にむずかしく、長い期間と膨大な資金を必要とするので、産、学、官、企業間の協力、さらに国際的な協力によって推し進められてきた。1984年にはそのための新会社、日本コールオイルが設立され、150トン規模パイロット・プラントの運転研究を通じて連続安定操業とスケールアップのためのプロセス設計データを取得するなど、大きな成果を残した。とはいえ、将来の工業化に対しては種々の残された技術的課題の解決を図らねばならず、またそれはエネルギー安定供給の必要性、政策的な判断に左右されると考えられる。[上田 成・荒牧寿弘]
『木村英雄・藤井修治著『石炭化学と工業』(1977・三共出版) ▽真田雄三編著『石炭転換利用技術――石炭液化、液化油の組成構造と物性推算』(1994・アイピーシー)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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世界大百科事典内の石炭液化の言及

【合成石油】より

オイルサンドオイルシェール,石炭などを原料として生産される合成液体燃料であるが,とくに石炭の液化によるものを指すことが多い。第2次大戦の戦前から戦中にかけて,石油資源に乏しいドイツ,日本などでは,軍事上の目的から石炭液化の技術開発を熱心に進めた歴史がある。戦後の中東における豊富な石油資源の開発によって,合成石油事業は経済的には成立しがたくなったが,1970年代の石油危機以降,研究開発が再開された。…

【石炭】より

…また,石炭をいったんガス化して水素と一酸化炭素をつくり,これを原料ガスとして液体を合成する方法もある。石炭液化の着想は1869年にさかのぼるといわれるが,工業化の基礎ができたのは第1次大戦後の1920年代で,それから第2次大戦にかけて,石炭資源は豊富だが石油に乏しいドイツが,石炭から内燃機関用の液体燃料をつくることにひじょうに力を入れた。第2次大戦中には,約20の工場でガソリン年産約500万tの規模に達した。…

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