日本大百科全書(ニッポニカ) 「石蓋土壙」の意味・わかりやすい解説
石蓋土壙
せきがいどこう
弥生(やよい)・古墳時代に流行した墓壙の一種。地下に長方形の竪(たて)壙を掘り、死者を収容したのち、板石、割石(わりいし)などを並べて蓋(ふた)としている。1931年(昭和6)に中山平次郎(へいじろう)(1871―1956)が、福岡県雑餉隈(ざっしょのくま)で発見された例に命名したのが初見である。「いしぶたどこう」と読む場合も多い。その出自については自然発生説、箱形石棺簡略説などがある。このほか無蓋土壙と称されるものも共存しており、これらのなかには本来板材を蓋としたものや、組合(くみあわせ)式箱形木棺の痕跡(こんせき)を残すものもある。また福岡、佐賀、長崎県下には縄文時代晩期に朝鮮半島から伝来した支石墓と組み合わさって発見されており、その起源が半島にあることも示唆しているようである。
[小田富士雄]