改訂新版 世界大百科事典 「神会」の意味・わかりやすい解説
神会 (じんね)
Shén huì
生没年:670-762
中国,唐代中期の禅僧。南陽和上,荷沢神会,般若真宗大師とよばれる。俗姓は高氏,湖北省襄陽の人。はじめ,玉泉寺で神秀に師事するが,曹渓に赴いて慧能に参じた。洛陽荷沢寺を中心に同門の普寂を批判して漸教とし,頓悟を唱える。達磨を初祖とする禅宗の確立は,この人の活動によるところが大きい。晩年には,安禄山の反乱に際し,広く道俗に授戒して,香水銭を集め,唐の財政を助けたこともある。敦煌文書による,胡適の《神会和尚遺集》によって,その史実と思想が知られ,禅宗史研究の新しい発端となる。なお,ほとんど同時代に同名の,別の神会(720-794)があり,四川省成都の浄衆寺を中心に,神秀と同門の智詵系の禅を主張していて,この系統より宗密が出る。二人は混同されやすい。
執筆者:柳田 聖山
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