朝日日本歴史人物事典 「福島貞雄」の解説
福島貞雄
生年:天明5(1785)
江戸後期の武蔵国足立郡大間村(鴻巣市)の名主,農学者。通称耕八。才幹があり,領主の林述斎 からも信任されていたという。天保飢饉に際して村々で申し合わせて5カ月にわたり実践した,雑炊による米,麦の食いのばし法について記した『贍民録』(1837)を自ら刊行して3000部を頒布し,のちに農書『耕作仕様書』(天保年間)を著す。同書には各種作物の試作結果が記されており,江戸近郊の畑作を中心とした商品作物栽培の実態や,自らが経験から会得した耕作技術がもりこまれている。また3例にわたる経営事例が記されており,当時のこの地域の農家経営の状況が明らかにされている。<参考文献>葉山禎作「『耕作仕様書』解題」(『日本農書全集』22巻)
(黒須茂)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報