福音伝承(読み)ふくいんでんしょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「福音伝承」の意味・わかりやすい解説

福音伝承
ふくいんでんしょう

イエス・キリストの説いた教えとその生涯についての伝承をいう。イエスの教えは『マルコによる福音書』で「時は満ちた,神の国は近づいた。悔い改めて福音を信ぜよ」 (1・15) という句によって総括されているが,人々に新しい生き方と真の希望を示し,また山上の垂訓のようにきびしい倫理的回心を迫るものであった。この教えはイエス自身の生涯の記憶とともに初期教会の宣教礼拝訓育などさまざまな活動を場として伝えられ (→生活の座 ) ,断片的な形から漸次まとまった伝承結集となっていった。福音書はこれらの福音伝承を素材として成立したものである。

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