…とくに,今日いうところの私法の領域における市民の権利,資本主義社会の経済活動を支える市民の自由については自律の概念を用いることが少なくなかった。ドイツ法学において今日でも,私人の意思による法的関係形成の自由を意味する語として〈私的自治Privat‐autonomie〉(私的自治の原則)の概念が用いられ,この〈私的自治〉の内容として契約の自由,所有権の自由,相続(遺言)の自由,あるいは団体設立の自由などがあげられるのは,そうした歴史の継承である。後進的で集権的なドイツ諸邦においてさえ,固有の私法ないし民事法は慣習法,判例法,法曹法に基礎づけられるべきものであり,立法権力の活動の範囲外におかれるべきもの,たとえ立法権力に服するにしても恣意的な立法は許されないものと考えられていた。…
※「私的自治」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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