稲口村(読み)いなぐちむら

日本歴史地名大系 「稲口村」の解説

稲口村
いなぐちむら

[現在地名]関市稲口

津保つぼ川南岸にある山方の村。加茂郡に属し、津保川対岸は関村鋳物師屋いもじや村。「和名抄」にみえ武藝むげ稲朽いなくち郷の遺称地とされる。中世には稲口庄の庄域で、文永元年(一二六四)三月二五日の某置文(湖山集)に「みのゝくにいなくちのしやうのうち、いなくちのかう・山たのかう、二かうなり」とあり、西の山田やまだ郷も庄域と考えられる。南北朝期には長福ちようふく(現京都市右京区梅津寺)領で、文和四年(一三五五)九月一一日の左京亮貞康渡状(田中慶太郎氏所蔵文書)によれば、稲口庄領家方下地が長福寺代官に交付されている。延文元年(一三五六)六月一六日の後光厳天皇綸旨や文明一〇年(一四七八)四月三日の足利義政御教書(ともに長福寺文書)などでは、稲川いながわ(稲河郷)などとともに長福寺に安堵されており、室町後期には稲口庄に対する押領があったことが知られる(延徳三年七月一八日「室町幕府奉行人連署奉書」同文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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